女優の音月桂が8月16日、東京會舘で行われたミュージカル「ナイツ・テイル-騎士物語-」の製作発表に登壇。「こんな状況ですけれど、皆様の何か心の支えになるようなエンターテインメントをお届けできたらなと思います」と語った。
シェイクスピア最後の作品である本作は、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの名誉アソシエイト・ディレクターで、「レ・ミゼラブル」などで知られるジョン・ケアードの脚本・演出を手掛けたミュージカル。2018年に帝国劇場で世界初演を果たし、新型コロナ対策を徹底して実施して好評を収めた2020年夏のコンサート・バージョンを経て、今回が待望の再演となる。
堂本演じるアーサイト、井上演じるパラモンという敵国の騎士2人から思いを寄せられるエミーリア役の音月は、「この状況の中、こうしてこの舞台の再演に出演できることをうれしく思います」とコメント。
「昨年、奇跡的にこの作品のコンサートを上演させていただいたとき、私たちが舞台に立ってもいいものなのか、今必要なことなのか、いろいろな葛藤がありました」と明かしつつ「いざステージに立ったときに、宝塚(歌劇団)で初舞台を踏んだときのような緊張と足の震えを久しぶりに体験しました。同時に、私は舞台に立つことが本当に好きなんだなとも感じました」と力強い表情。
さらに「演出のジョンが、今回も一切妥協せずに演出してくれて、どんどん変化していますが、誰も嫌な人が出てこない…というのは語弊があるかもしれませんが、ものすごく愛情にあふれた作品だな~という印象は3年前と全く変わっていません。アーサイトとパラモンの美しい友情だったり、私が牢番の娘である(上白石)萌音ちゃんを思う気持ちだったり、それぞれの役の愛の豊かさ大きさがむしろ増していっています」と明かした。
「毎日稽古場に行って、そのたびに新しい課題を頂いてこなしていくのは、確かにすぐできることではないんですけど、それを一生懸命自分のものにしていく時間がとても愛おしくて」という音月。「3年前に比べて、エミーリアはもう少し芯が強い女性だな、女性でもちゃんと男性に対してしっかり意見をぶつけていける女性だという印象が増したので、そのあたりを一生懸命取り組んでいる最中なので、これからどう変化していくのかを楽しみながら頑張りたいと思います」と語った。
「再演とはいえ、ジョンが素敵な魔法をかけてくださって、新作を作っているような感覚です。ジョンと座長のお2人がすごく温かな空気を作ってくださるので、のびのびと稽古を進めているので、稽古が初日まで進んでどうなるのか楽しみですし、楽しみにしてくださるといいなと思います」とまとめた。
ミュージカル「ナイツ・テイル-騎士物語-」は9月から大阪、東京、福岡で上演。
◆取材・文=坂戸希和美