原誠ディレクターインタビュー「“知らないことの怖さ”と“多くの人に伝えることの必要性”を感じました」
――まず、賀久くん、濱口さん一家を取材することになったきっかけを教えてください
2020年3月、私が報道部で三重県のニュースを担当する記者をしていた際に、「産まれてすぐピエロと呼ばれた息子」販売元の出版社からPR会社を通し、「道化師様魚鱗癬(どうけしよう・ぎょりんせん)を多くの人に知ってもらいたい」という取材依頼のFAXが届いたことが始まりです。
息子の病気を知ってもらうという行動はとても勇気のいることです。だからこそ、取材の依頼は、ご両親の相当な覚悟と熱量を感じました。依頼文を見た数分後には面会の約束を交わしました。ちなみにこの依頼があるまで、私は道化師様魚鱗癬を知りませんでした。
そして3月の下旬、初めてご家族とお会いしました。その時の賀久くんは「想像していたよりも元気で活発な男の子なんだな」という印象でした。私は事前に依頼文を読み、賀久くんの置かれた状況も知っていたので、そんな風に見えたのかもしれません。もし何も知らずに会っていたら「火傷を負っているのでは」などと心配していたかもしれません。だからこそ、“知らないことの怖さ”と、“多くの人に道化師様魚鱗癬を伝えることの必要性”を感じました。
――“知らないことの怖さ”という意味では、コロナ禍において持病のある方々がますます生き
づらさを感じる機会が多くなったように感じます
コロナ禍において、賀久くんも不便な思いをしていることがあります。賀久くんは、全身を固い皮膚に覆われ、汗を出すのが苦手なために、熱を体内に閉じ込めてしまう体質なんです。そのため、平熱も37度前後と高めで、少しの運動で高熱が出ることもあります。ですが、その事情を知らない人は「どうして熱があるのに外出するんだ…」とドキッとされるでしょう。
新型コロナというものも良く分かっていない状況で、漠然と「発熱＝怖い」というイメージになっていますよね。道化師様魚鱗癬を知らない人が、賀久くんの高めの熱を目の当たりにすれば、恐れるのは当たり前だと思います。私にできることは、正しい情報を伝えることです。
配信を見た方が、先入観で決めつけるのではなく、正確な情報を得て判断することの大切さに気付いてもらえればと思います。
定期配信型ドキュメンタリー「ピエロと呼ばれた息子～道化師様魚鱗癬との闘い～」第1話
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