窪田正孝“唯織”ら個性強めなメンバーの再集結&新キャラ登場で“ワクワク感”アップ<ラジエーションハウスII>
第1話レビュー
2年半ぶりのシーズン2初回。2年半というと普通に考えればそれほど前でもないが、シーズン1から今までの間に憎きウイルスのせいで世界の日常が大きく変わってしまったくらい、この2年半は激動だった。それでも、人気ドラマの世界くらいは変わらないでいてほしいもの。
2年半ぶりに帰ってきた「ラジエーションハウス」は、個性派メンバーを取り巻く環境は少し変わっていたが、彼らの現状と“再集結”の描き方が実にテンポよく、クスッと笑える作りになっていて、見る側としては2年半のブランクを感じないほどスッと入れた。あの再採用するか否かを決めるくだりでの“お約束”の「テンドン」…個人的に大好物。ああいうテンドンなら、なんぼあってもいいですから。
このドラマの主人公・唯織の「パッと見すごそうに見えないのに天才」っぷりも相変わらず健在。天才なのにまったく鼻につかないし、彼がそこにいるだけでワクワク、ハラハラ、そして安心感…と、第三者として見ているだけでもいろいろな感情がひしめき合う。
技師・医師としてのポテンシャルの高さもさることながら、杏へのピュアな思いという部分も魅力的。再会後、車内での2人のぎこちなさったら、見ているこっちがぎこちなく笑ってしまうほど、ぎこちない。(褒めております)
その他、本田演じる杏の成長ぶりや広瀬演じる裕乃の振り回されっぷり、鈴木演じる辻村先生の爽やかイケメンっぷりも最高デスし、MAN WITH A MISSIONの主題歌、劇伴、ナレーション含め、“帰ってきた感”が実に心地いい。
そんな中での“変化”といえば、予告でもチラッと触れられているが、第1話で遠藤演じる放射線技師長・小野寺に「認知症予備軍」という診断が。筆者もこんな感じで忘れっぽくなってきたこともあり、これは他人事とは思えなかったし、遠藤の悲哀に満ちた表情の演技がたまらなくうまい! それも相まって、余計に胸を締め付けてくる。小野寺というより、つい遠藤の体調を心配してしまうほどのリアルさだ。
さらに、メンバー自体の変化としては、ナレーションでおなじみの八嶋演じる田中がシーズン1最終話から続いてレギュラーとして加わっているが、この田中のキャラもドラマに絶妙なバランスをもたらしている。個性豊かなメンバーが好き勝手やるところを真面目に止めようとする姿もそうだし、何より軒下(浜野)との“先輩後輩”争いもずっと見ていられる。
同じく、強烈なラジハメンバーに立ちはだかる新院長・灰島(高嶋)。最近何やら月曜夜に“強面の権力者だけど恋に奥手系メンズ”を演じがちな高嶋。ただ怖い新院長というだけでなく、和久井演じる大森先生とのやりとり、ついニヤニヤしてしまった。
それはさておき、シーズン2だからこそ、シーズン1にはなかった“新しい風”の参加というのは必要不可欠。それも見るからに味方というキャラより、こういった主人公に立ちはだかる高い壁の方が見ている方もハラハラドキドキして燃える、というもの。今後のラジハメンバーとの対峙(たいじ)シーンには期待しかない。
ラジハチームの根幹としてあるのは、ルールは守るものかもしれないけど、本当に守らなければならないのはただ単に慣習的なルールより、人の命だということ。偶然、先日見た同じ鈴木雅之監督の映画「マスカレード・ナイト」からも、ある意味それに近いメッセージを受け取った。「無理」というのは簡単だけど、その一言で片づけちゃ駄目なのだな…と。だからこそ、物忘れが激しいからって記事を書くのは無理だ、とは言わないようにしよう。
いかに忘れっぽい人でも、一度見たら忘れられない強烈なメンバーが織りなすラジハ続編。「シーズン2になると置きに行きがちだよね」と勝手に決めつけて見るのをやめようとしている人、その予想は裏切られるだろうけど、期待は裏切らない仕上がりになっていると思うので、先入観にとらわれずに見てみては?
もちろん、無理のない範囲で。
◆文=人見知りシャイボーイ
※高嶋政宏の高は「はしご高」が正式表記