過去、あまりの変わりようで衝撃を与えた人物といえば
朝ドラでは、闇落ちではなくとも、立場や気持ちがガラリと変わってしまう友人が、主人公を驚かせることは少なくない。
例えば、朝ドラ絶対王者の「おしん」では、おしん(田中裕子)が奉公していた裕福な家の娘・加代(東てる美)。
彼女とおしんは身分を超えて親友のようになり、同じ人を好きになって3人で飲み交わしたりもするようなこともあった。だがやがて加代は家が没落しカラダを売る店で働くようになる。明るく輝いていた人物がやつれ果て、酒におぼれている姿におしんはショックを受ける。
また2000年代の名作と言われる「カーネーション」でも、糸子(尾野真千子)の親友でお嬢様だった奈津(栗山千明)は戦後、借金を残し夜逃げして思いがけない仕事をしていた。
「何やってんや」と責める糸子、「関係ない」と拒否する奈津の全身を使って激しくぶつかりあうふたり。どん底に落ちながらも強がる奈津を助けたいと願う糸子の気持ちが胸を打った。
当時、人から良く見られない職業をやらざるを得なかった加代や奈津。環境的には闇だが心は清らかであった。
主人公と対立することになる人物には、この間まで夕方、再放送をしていた「花子とアン」の花子(吉高由里子)の親友・蓮子(仲間由紀恵)がいる。
彼女は戦争で息子を亡くすと一晩で白髪になり、戦争に協力するようなラジオ番組をやっていた花子に憎悪の感情をぶつける。あんなに仲の良かった花子と蓮子が再会するまでには長い時間を要した。
家の不幸や戦争で望まない生き方を選ぶことになる友人たちを目の当たりした主人公は、自分がいかに恵まれているか、友の分まで強く生きていこうとする。
不幸な目に遭う友人は、主人公の心に気づきを与える役割を持っている。とはいえ常に悲しい目に遭うのが友人たちであることは、物語とはいえ辛いものがある。亮には笑顔を取り戻してほしい。