――互いに過去を背負う役どころですが、人物像はどのように捉えていましたか?
古川:海利はすごく真面目で、人当たりも良く、みんなから信頼を得ている人物です。学生時代は生徒会長もやるような。父親が教育委員会の会長を務めていて、父の影響を強く受けていたのですが、あることで父親への信頼がなくなり、一気に孤独になる。とにかく孤独で寂しい人という印象で、頼るものを探していて、理世に出会った。なので、本当の意味での明るさを、理世を通して取り戻していくという印象です。
山谷:私は最初は、理世は明るく活発で純粋で、同性から好かれるような女性だなという印象を持ったんですけど、台本を読んだら印象が変わって。明るさや無邪気さはいろんな大変なことがあったからこそ、人に心配を掛けたくないゆえの表現なんだろうなと思いました。海利とはまた違った意味での孤独や、空いた部分を埋めてくれる存在を求めていたんだろうなと思います。
――そんな二人が出会って、恋に落ちていくわけですが、そこから二転三転…。感情の変化を表現するのが大変だったのではないですか?
古川:理世ちゃんは特に大変だったのではないかと思います。好きになった相手が兄を殺したかもしれないと思う感情って、計り知れないですよね。確かに僕の方も殺した相手が好きな子の兄だったかもしれないってすごいことですけど、衝撃は理世ちゃんの方が大きいのではないかなと思います。
山谷:涙するシーンがすごく多かったので、無我夢中でした。カチンコが鳴る直前まではいろいろなことを考えていたのですが、本番での感情はあまり覚えていなくて。でも、終わった瞬間にどっと疲れが来ていたので、すごく集中してお芝居していたんだろうなと思います。自分の経験だけでは収まらない役どころでしたし、想像するにも限界があって…。人を殺めてしまった人に会ったことはないですから。ただ、海利が殺人犯であるいう設定を考えすぎると気持ちが追いつかなかったので、ラブラブしたシーンは海利のバックボーンを意識せずに挑んでいたように感じます。
古川:それぞれの感情が見えるのは互いに一人の時で、一人のときと二人でいるのときの温度差をどう表現するかに悩みました。やり過ぎると違和感が出てしまうかもしれないですけど、海利がやったことは絶叫したくなるぐらいのことだろうなと思ったので、そこは監督に導いていただきました。
10月15日(金)夜0時FODにて配信スタート