9月22日に提供が開始された「World Maker」は、絵心や画材がなくても漫画がつくれるスマホの無料サービスだ。脚本を入力すれば自動でコマ割りをしてマンガの設計図ともいえるネーム(絵コンテ)が出来上がる。企画したのは、これまで「チェンソーマン」「ダンダダン」など多くのヒットマンガを手掛けてきた集英社「少年ジャンプ+」編集部の副編集長・林士平さん。このサービスを立ち上げた真意や、わくわくするような具体的な今後の展開について話してくれた。
スマホの数だけクリエイターが生まれる
――β版のリリース以降、反響はいかがですか。
かなりたくさんの作品が(ネット上に)上がっています。ひろゆきさんがWorld Makerで作ったネームをマンガ家さんが絵にしたりもしていて。これまでマンガを描くことがなかった方たちのネームが作品になっていくのを見るのは面白いですし、理想的な形だなと。今は物珍しさもあると思うので、コンテスト(「第1回 World Maker ネーム大賞」※募集終了。12月結果発表予定)を開催して盛り上げたり、早い段階で新しいバージョンの告知をしたりするつもりです。
海外の方も使ってくれているんですよ。フランス語とかアラビア語の作品もあがっています。今後翻訳機能の実装も視野に入れており、ワンクリックですぐに翻訳して読めるようになるというのはデジタルの強みだと考えています。
――その即時性はおもしろいですね。
どの国でも今は基本的に、ライフラインとしてスマホを皆さん持っているので、その国でしか語れない物語を語って、世界中の人がそれを読んで、しかも作り手はそれで食べていけるようになったりしたら……ロマンがありますよね。「見たことのないものを見たい」って人間の根源欲求の1つだと思うんです。作り手が増えれば見たことのないものも増えて、僕の老後も楽しくなるだろうと(笑)。
――ご自分の受け手としての楽しみや欲求も入っているわけですね。
入ってます、入ってます! 全世界の人が個人でポチポチと何かを作りやすくなるような道具を配れば、そういうものが見られるんじゃないのかなと。