「私達は望む望まざるを問わずつながってしまう生き物」現代芸術家・大小島真木さんが再解釈した“アマビエ”とは 

2021/11/18 09:30 配信

芸能一般

ミュージアムアート部門ディレクター・神野真吾さんが語る「綻びの螺旋」

「マンダラージュ MANDALAJU」(左)「環世界群 Umwelts」(右) (C)2021 Maki Ohkojima Courtesy of Kadokawa Culture Museum Photo by Shin Ashikaga


同展示のアートディレクションを行ったのは、千葉大学准教授で角川武蔵野ミュージアムアート部門ディレクターの神野真吾さんだ。改めて、大小島さんへの依頼理由や作品の魅力を語ってもらった。

――大小島さんへの作品の依頼理由を教えてください。

大変大きな枠組みでアートに取り組んでいる点に大きな可能性を感じました。当初の見通しでは、コロナ禍は一年後にはほぼ収束しているのではないかという期待もあり、テーマの重さや奥行きはありつつも、ポジティブなメッセージを力強く発信できる作家が最後にはふさわしいと考え、大小島さんに依頼をしました。

――神野さんから見た、大小島さんの作品の魅力を教えてください。

自分が設定したテーマに対して、きちんとリサーチをしつつ、あくまでも自分のイマジネーションに重きを置いて制作をしているアーティストだと思います。全体としてのインパクトを有していながら、細部の描写も魅力的で、その作品の前でさまざまな楽しみ方をできるのが魅力だと思います。

――作品内容について、話し合いなどはありましたか?

「アマビエ・プロジェクト」の背景をお伝えした後に「結界」というアイデアが返ってきた。その延長にあの空間の使い方が自然と出てきました。大小島さんが空間から感じたところがいちばん重要な出発点でした。またミュージアムの内部の黒を効果的に活かしていただきました。すでに展示されていた米谷健+ジュリアさんの『ウルトラブッダ』も、その一部に組み込むなどの提案も前向きに考えてくれ、最終的に空間としてユニークな作品が生まれたと思います。

米谷健+ジュリアさんの作品「ウルトラブッダ」にも“道”が絡みついている ※2021年ザテレビジョン撮影


――完成した作品を見てどう感じますか?

2階エントランスフロアの雰囲気を損なうことなく活かしきって、また別の空間へと変えてくれたなと思います。本当に力の入った作品で、多くの人に見てもらいたいと思います。「天岩戸」のよう、と大小島さんは仰っていましたが、この空間の非現実性、異世界性を、とても質が高いレベルで実現してくれ、感謝の思いしかありません。

「アマビエ・プロジェクト~コロナ時代のアマビエ~」は、角川武蔵野ミュージアム内外にて開催中。