小学6年生から曲作りを始めた﨑山だが、制作スペースについて聞いてみた。
「中学校のときはもうめちゃくちゃ曲を作るペースが早くて、ワーッって作って『完成!』みたいな感じでした。スーパーマリオでいうとスターの状態というか(笑)。最近は考え過ぎちゃうことが多いんですよね。
面白い音楽があり過ぎて。すごいミュージシャンが多過ぎるんです(笑)。いろんな音楽に興味があるし。でも考え過ぎると、『あっ、違う』と思うことが多くなってきたので、ギターを弾いててするっと出てくるものを形にする書き方が合ってるのかなって。
その出てきたものを補強して作りこんでいくのが個人的にはめちゃくちゃ難しいんです。だからもっと音楽の勉強がしたいんです。そういう知識を持っているミュージシャンの方はそこからの展開が滑らかなんですよ。
水野さんもそうだと思いますし、長谷川さんもヤバかったです。水野さんとの『透明稼業』は編曲が長谷川さんなんですけど、あの曲ってドラムのキックとスネアの音がすごく揺れている感じを受けるんですけど、動物の呼吸に合わせているそうなんです。『そういうことをするのが今生きてる中での楽しみなんです』みたいなこともおっしゃっていて。『うわ、やっべー!』って思いました(笑)。音楽のことを理論的にも分かってらっしゃるし、だからやっぱり僕もしっかり勉強したいですね」
曲作りの現在地についてもこう話を続ける。
「最近思ったのは、自然物や風景にインスピレーションを受けることも多いので、それと自分の土壌にある音楽から生まれる曲や最近刺激を受けて作ったものとか、全部がどんどんくっ付いていけばいいなって。文章からインスピレーションを受けることも多いです。好きな作家さんの本とか。中村文則さんの本に衝撃を受けて文学が好きになったんです。母親が読んでて『これちょっと難しいと思う』と言われてイラッとして読んでみたら(笑)、『すごい!』って思って。
あと、やっぱり引き続き驚いてほしいという気持ちも強いです。割と飽き性なので、『この流れで突然変なのがきたら面白いのに』って思うようなこともどんどんやりたいですね。振り幅のメーターがスカウターが壊れてるくらいのアルバムが作りたくて。その中に口ずさんでもらえたり優しい曲をうまく盛り込めるのが理想です」
ミュージシャンであると同時に、熱心な音楽ファンでもある彼は、音楽を聴いているとあっという間に時間が過ぎるという。
「休みの日に音楽聴いているとすぐ1日が終わりますね。たまにこの曲ってどうやって作ってるのかなって振り返ってみたり。でもあまり器用じゃないので、そこで確認したことを自分の曲にまだうまく取り入れられてなくて。だからこそ今の自分の糧になっているのは昔聴いていた音楽で。混乱したときとかも、昔聴いていた曲を聴くと落ち着きます。あとは好きな本を読んだり。ただ、本を読んでるときは音楽が近過ぎちゃうとそっちに気を取られちゃうので、アロマ焚いてるみたいな感じで(笑)遠くで音楽を流したりします」
取材・文=小松香里
ソニー・ミュージックレーベルズ
さきやま・そうし=2002年生まれ、静岡県出身。2018年5月にインターネット番組への出演を機に話題となる。2021年にアルバム『find fuse in youth』でメジャーデビュー。以降ドラマ「賭けグルイ」主題歌、テレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」第5期(2クール目)のエンディングテーマ、映画「かそけきサンカヨウ」主題歌など映画・ドラマ・アニメ・CMと多方面からのオファーが鳴りやまない。
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