“朝ドラ”こと連続テレビ小説「おかえりモネ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)の第23週「大人たちの決着」(10/18-10/22)では、主人公・モネこと永浦百音(清原果耶)や同級生・亮(永瀬廉)の父親たちの決断が描かれた。その感動に浸りつつも「#俺たちの菅波」こと菅波光太朗(坂口健太郎)と百音の進展も気になるところで、第115回では菅波が永浦家に挨拶にやって来た。その時の菅波の言動がまた視聴者の期待を裏切らないもので、Twitterでは「#俺たちの菅波」がトレンド入り。来週いよいよ最終回を迎える「モネ」を盛り上げた立役者のひとり、坂口健太郎の魅力をフリーライターでドラマ・映画などエンタメ作品に関する記事を多数執筆する木俣冬が解説する。(以下、一部ネタバレが含まれます)。
「おかえりモネ」も来週で最終回。朝ドラではたいてい、主人公が恋をして結婚して子供を産んで育てて……という流れになるが、まれにそこまで描かれないこともあり、「モネ」はそのスタイルになりそう。
百音は高校卒業後、登米で就職しそこで出会った菅波とゆっくりゆっくり信頼関係を育んで、5年が経過した。2020年1月13日、ついに菅波は永浦家に挨拶にやって来た。
一度、東京で父・耕治(内野聖陽)と祖父・龍己(藤竜也)と偶然会った菅波が耕治の圧の強さに耐えかねて、苦手な牡蠣を懸命に食べるというエピソードがあったが、正式に挨拶することははじめてとなる。
これが一筋縄ではいかず、はやる菅波が予定よりも早く気仙沼に来ると、百音と亮(永瀬廉)の親密な様子を目撃することに……。
百音と亮を見て「19対5か……圧倒的に分が悪いなあ」と弱音めいたことを言う菅波。
これは百音と出会ってからの年数。亮は19年で菅波は5年。東京で百音が初デートをすっぽかして亮のところに行った時も、表情も口調もさほど変えないながら内面では動揺していることを口にしていた菅波。今回もまた、あくまで淡々としながら内面では亮のことを、ものすごく意識している。
この不器用な感情表現が「#俺たちの菅波」らしさであり魅力のひとつである。
百音がFM放送をやっている時もブースの外で亮とふたりで見ていて、亮は屈託なく手を振り、菅波は手をそっと挙げるのみ。その、そっと手をあげるところも菅波らしく好ましく思えた視聴者も多かったのではないだろうか。
菅波は頭脳明晰で医者としての腕は確か。ただ思っていることを言葉や態度で器用に表せない。世の中、調子よく渡っていける人ばかりではないから、菅波のような人がいてくれると視聴者としては親近感のみならず生きる勇気が湧く。
演じる坂口健太郎が、清潔感や賢明さを伴ってほどよく感じよく菅波を演じていることも良かったと思う。
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