共感できる部分と受け入れる部分を見つける
――田辺さんは役ごとに印象が違うとよく言われると思いますが、役を演じる際に大切にしていることはありますか?
役に対して絶対的に共感できる部分がひとつ以上はあると思っているので、“ここは共感できる”と思う部分を見つけるようにしています。逆にどうしても分かり合えない部分、例えば、私だったら怒らないけど、このキャラクターは怒るという時はそのキャラクターの考え方を完全に受け入れます。すると、自分が演じているんですけど自分じゃなくなる瞬間が生まれ、その子の考え方に身を任せることができるようになる。演じる際は共感できる部分と、分かり合えなくても受け入れる部分を見つけることを心掛けています。
――なるほど。その共通点と分かり合えない部分は、空にもありましたか?
私はネガティブなことがあっても言い換えをして、前向きに捉えようとするのですが、そこは空と似ている部分だと思います。例えば、オーディションなどでは緊張しますが、緊張していても良いと思うんです。逆に完璧じゃないほうがいいと思っていて、ちょっとした隙があったり、言葉に詰まったりするほうがリアルでいいのではないかな?と置き換えて考えるようにしています。
それから、第6話で空のパーソナルな部分が描かれ、彼女が抱えるトラウマやこれまで経験した悲しい出来事が見えてくるのですが、側から見ているとそこまで怒らなくてもいいんじゃないかな?と思うことでも、彼女は過去の経験から他の人よりツラく感じてしまうので、そこは完全に空の意志だと考えるようにしています。
――第6話では空がマラソンをするんですよね。視力障害のある方が走るということは、とても大変なことだと伺いました。そのシーンへの思いを聞かせていただけますか?
お世話になっている盲学校でも陸上部が期間限定であったそうで、学生さんが楽しそうに参加していたと伺いましたし、パラリンピックでもブラインドマラソンがありました。でも、見る機会はあまりないと思うので、これをきっかけにこういうスポーツがあることを知ってもらえたらうれしいです。そして、空のマラソンに掛ける思いやパッションが伝わったらいいなと思っています。
――最後に田辺さんが感じている作品の魅力を教えていただけますか?
登場人物それぞれが魅力的で、皆さんそれぞれに推しのキャラクターもいると思いますが、その中で私が感じているのは、週の真ん中の水曜日にほっこりできて、真っ直ぐにキュンとできるところです。今はコロナによる新しい生活様式にやっと慣れてきたところだと思うんですけど、やっぱり疲れる部分もあると思うんです。そんな日々の中の週の真ん中でほっこりしたり、キュンとできて、私自身も見ていてうれしくなる作品だなと思っているので、ご覧になる方にもこの作品を見て、また1週間頑張ろうと思っていただけたらうれしいなと思います。
取材・文=及川静