――この作品は、美穂のような“パパ活女子”や母親、バリキャリ女性など、属性によって勝手に貼ってしまったレッテルを剥がしてくれる映画だと思います。美穂を演じたことで、松村さん自身の価値観が変わったことはありましたか?
私の中で大きなテーマとしてある「結婚」に関しての価値観は、この作品と出会って変わりました。今までは「女性はある程度の年齢になったら結婚した方が幸せなのかもしれない」と勝手に思っていたのですが、別に無理やりそう思わなくてもいいんだ…という考えになりました。
もちろん、結婚は幸せになるための選択だと思うけれど、人生の中でたくさんある選択肢のひとつでしかないんだと感じて。そう考えるとちょっと楽になりました。
――今の松村さんにとっての“幸せ”は何ですか?
最近は、出演した作品を見て感想をもらえるのがすごく幸せです。
アイドル時代は、握手会などで定期的にファンの方にお会いして、「あの時よかったね」とか「このインタビューのこの言葉がよかった」と言っていただいたのですが、卒業してからそれがプッツリと無くなってしまったので…。現場で「良かった」と言ってもらえるだけでとても幸せを感じています。
――周囲からの言葉で力をもらっているんですね。
まさにそうなんです! 周りの人からの言葉をすごく頼りにするタイプなので、そもそも「ひとりで生きている」と思っていないんですよね。
アイドルを10年やってきたからかもしれませんが、みんなに支えてもらってここまで来たと思っていて。乃木坂46にいた時は、一番な身近なメンバーの言うことをとても頼りにしていました。今も、褒めてくれた言葉が活力になっているし、小さなこと全てが自分の背中を押してくれています。
――“パパ活女子”というある種過激な役を演じ切って、女優・松村沙友理として何か変化はありましたか?
これから女優を続けていく上で必要なことが少し分かった気がします。
今までは365日24時間アイドルとして過ごしていたのですが、女優をやるのであれば、一度本当に自分にリセットすることが必要なんだと、この作品に出会ってとても感じました。
――女優としての向き合い方が変わる分岐点になったんですね。
そうですね。乃木坂46卒業を控えた大切な時期にこの作品に出会えて良かったです。