“心に伝える”ことで、また別の誰かへ伝わっていく
さて、最終回は10月に開催された個展の話から、僕が新しく発見したこと、改めて感じたことをお話ししてみました。最後にこれからの僕について少しお話ししながらお別れしたいと思います。
まず、僕は普段から欲の多い人間です。それは今までの人生で何かを達成した経験が少ないからだと思います。幼少期は、何かを習ったり、学んだりが難しい環境だったので、チームで何かを成し遂げたり、一生懸命に頑張って成し遂げたりという経験がありませんでした。
学びたくなかったわけではなく、学べる環境ではなかったのだと思います。だから当時はみんなをうらやましく思いましたし、悔しくも思いました。その影響なのか思春期になってからは何をしてもどうせだめだ、自分はみんなより劣っていると本気で思っていた時期が長くありましたし、僕が韓国でデビューできたのは、僕の力ではなくファンの皆さんの力のおかげでしかありません。
その結果、僕が僕自身の手で何かを成し遂げるということへの憧れを強く持つようになりました。欲が多い人間になったのだと思います。でも、欲が多いことが決して悪いとは思っていません。そのおかげで今現在の僕がいます。ただ、やりたいことが多くなりすぎて、本当に何がしたいのかわからなくなる時があったのも事実です。
ですが今回、日本での個展開催を通して、「成し遂げたいこと」の答えも見つかったように思います。それは“伝える”ということです。以前から自分の中に“伝える”というテーマはありましたが、より具体的に“心に伝える”ということをしたいと思うようになりました。人は心から感謝し、心から笑い、心から悲しむことで成長していくと思います。きっとこれは僕たちが人間だからできることです。だからこそただ単に伝えるのではなく、誰かの“心に伝える”ことが大切なのではないのだろうか。それがきっと誰かの気付きになり、また他の誰かにその想いが伝わっていく。そんな活動をしたいと思いました。
伝えるためには、僕ひとりでただ喋っていても意味がありません。こうして僕の書いた文章を読んでもらい、僕の描いた絵を見てもらって初めて何かを伝えることができます。だからこそ、今この文章を読んでくれている方にはとても感謝していますし、この機会をくれたWEBザテレビジョンさんにも心から感謝しています。僕はこれからも少しずつにはなるかもしれませんが、自分の足で歩んでいきますので、心のどこかで応援していただけたら嬉しく思います。
そして「僕とアートと君とー」その先の大切なものを見つけるために、これからも挑戦し続けたいと思います。最後に改めて、今回この企画を提案してくださったWEBザテレビジョンさん、teamKENTAのスタッフさん、そして読者の皆さんに心から感謝します。
またいつか会える日までどうかお元気で。
写真・文=高田健太
※高田健太の「高」は「はしごだか」が正式表記