「荒川アンダー ザ ブリッジ」シリーズ(ドラマ版=’11年TBS系、映画版=’12年公開)や、ドラマ「REPLAY&DESTROY」(’15年TBS系)、「神奈川県厚木市 ランドリー茅ヶ崎」(’16年TBS系)、映画「風俗行ったら人生変わったwww」('13年)、「ブルーハーツが聴こえる」(’17年)などなど、常に話題作を世に放ち続ける飯塚健監督の待望の最新作「笑う招き猫」がついに完成。4月11日(火)(※MBSは4月9日[日])に最終回を迎えるドラマ版に続いて、映画版が4月29日(土)に全国公開される。
原作は山本幸久の同名小説。清水富美加と松井玲奈が扮する女性漫才コンビを軸に展開する、笑いあり、涙ありの青春物語だ。
――飯塚監督のフィルモグラフィーをたどってみると、原作ものが多い印象があるのですが、小説や漫画を映像化するときに心掛けていることはありますか?
「一番気をつけているのは、この原作者の方は、どこまでの改変を許してくれるのか、ということ。僕はけっこう変えさせていただく方なので、いつも怒られないギリギリのところを探ってるんです(笑)。今回の映画も、ヒトミ(清水富美加)とアカコ(松井玲奈)、蔵前(落合モトキ)、大島(荒井敦史)のメインキャラクター4人と、マネジャーの永吉(角田晃広)以外、実は原作に出てこないキャラクターばかりで。ハマケン(浜野謙太)が演じたヒトミとアカコの大学時代の同級生もオリジナルの登場人物です。ただ、決して原作をムチャクチャにしようと思ってるわけではもちろんなくて。当然ですが、原作に込められたメッセージであるとか、“根っこ”のところをきちんと捉えることは常に心掛けています」
――原作の世界観を損なわないように改変しているわけですね。
「そうですね。原作をそのままトレースするくらいなら、最初からやらない方がいいんじゃないかって思うんですよ。原作を知っている人たちの中で出来上がっているイメージをそのまま再現しても、何だかなって(笑)。そういうスタンスじゃ、原作を超えるものなんて作れるわけがない。勝てっこないんです。そういう意味では、僕の場合は改変というより、映画にするための“翻訳”という感覚ですね。それだけに、原作者の方に『面白かった』って言ってもらえるとものすごくうれしいんです。今回の映画も、山本さんが試写を見ながら笑ったり泣いたりしていて、本当にうれしかったです」
――小説にしろ漫画にしろ、監督が「映像化したい!」と食指が動くのは、どういう作品ですか?
「まず前提として、自分自身が面白いと思ったもの。それと、今まで自分がトライしたことがないようなもの。そして、映像化の術がなかなか浮かばないもの。浮かばないからこそ、じゃあどうするのかと考えるのが楽しいんですね。映像にするのが難しければ難しいほど、知恵の絞りがいがあるというか。あとは、自分の興味の範疇から遠い題材にも惹かれます」
――飯塚監督は、脚本もご自身で手掛けることがほとんどですが、脚本を書きながら「このシーンはどう演出しようか」なんて考えることはあるのでしょうか?
「『ここはこういう画を撮ろう』と思うのは、一つの作品の中に何カ所かあるぐらいですね。脚本を書いている時点では。演出プランは脚本が出来上がってから考える、という感じですかね」
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