「良くも悪くもシンプルなマインドの人」
――ここまで演じてきて、加瀬の心境の変化を感じたタイミングはありましたか?
加瀬に関しては1話から一貫していまして、加瀬を作り上げる上で塚原さんと新井さんがずっと大事にしていた“常に梨央にやさしく寄り添う”という部分がブレないように徹底しています。
おてんばな梨央社長が引き起こしてしまうさまざまなスキャンダルに対する心境の変化は少しずつあるんですが、加瀬は良くも悪くもシンプルなマインドの人です。なので、見事に大輝とは対極にいるキャラクター像だと感じています。
例えば大輝は誰かを“思う”ということに対して不器用ではあるけれど、その思いを内側から表に出していくタイプの人間です。しかし、加瀬は育った環境のせいなのか、内側にあるものを表に出していくタイプではないんですよね。
(加瀬は)本当に大切なもの以外への興味がなくて、加瀬にとって支え続けている梨央の目標や夢を一緒になって支えることで、加瀬も梨央の見ようとしている景色を一緒に見たいという思いだけというか。
そういうシンプルなマインドの人物なんだなというのは、演じる中でだんだんと確信してきたという感じです。なので、心境の変化というよりは1話から積み重ねてきた加瀬の人間性がだんだんと明確になってきたと感じています。
――加瀬を演じていて楽しいと感じる部分を教えてください。
塚原さんと話していて、“シンプルなマインドを持つ”、“梨央にやさしく寄り添い続ける”という2つのキーワードを大切にしすぎると役の輪郭がイメージした通りのものになりかねないという結論に至ったんです。なので、役の輪郭を壊さない程度に押し広げたいという思いが僕の中にありました。
「こういう人物だからこういう言葉は使わないんじゃないか」とか「こんな動きはしないんじゃないか」ということにあえてトライしてみることで、加瀬を物語の中の人物でなく、人間にしたいと思ったんです。
政信(奥野瑛太)は大切な真田ファミリーの一人で、ドラマでは描いていないけど加瀬は政信に対してもきっと弟のような目でどこか見ているし、大切で守ってあげたいっていう気持ちもあるはず。
なので、政信がつっかかってきたときに丁寧に返すのではなく、お兄さんのような対応で受け流したり、梨央に対しても仕事上では敬語だけれど、時々お互いにため口が出てきてしまったり、そういうことにトライすることによって加瀬の輪郭を押し広げる作業をしています。
加瀬がイメージの中にハマらないように、でもやりすぎないギリギリのラインを探っていくところは加瀬を演じる上での楽しいところでもあります。
■「最愛」公式Instagram:saiai_tbs
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