――ユイ役が片山さんだったからこそできたシーンはありましたか?
片山さんに助けてもらったシーンはたくさんありました。真也が女性であること、それでも好きで結婚したいと打ち明けるシーンを撮ったのは撮影初日の夜でした。僕の中の真也がまだそれほど濃くない状態だったのですが、監督がすごくこだわったシーンだったので、何十回もテイクを重ねて深夜までかかってしまって。たぶん5時間ぐらいかな? そのなかで片山さんは文句一つ言わずに、僕の芝居を受け止めてくれたんです。すごく助けられましたし、終わったときはすごく感謝しました。
――あのシーンをへて、物語が走り出していく重要なシーンでしたからね。
真也がトランスジェンダーであることがあのシーンで分かるし、2人の葛藤が生まれるスタートラインでしたからね。あそこからアクセル全開になる。花笑さんは普段は冗談も言いますけど、撮影ではパチンとスイッチが入って厳しくなる方で、このときも「もっとできるだろう」とずっと厳しく言われました。でも、そうされることでいろんなものに押しつぶされそうになる真也の感覚と、監督に追い込まれる僕の感覚がリンクしていくように感じたので、そういうシチュエーションを監督が作ってくれたのかもしれません。
――公開を控え、今、感じていることは?
ユイと真也が、若い世代の人の目にどんなふうに映るんだろうなということです。撮影当時は僕自身も知らない世界でしたし、「時代的にあまり受け入れられない映画なのかな?」と思ったのですが、このコロナ禍で若い子たちが社会問題に興味を示し始めて、時代が変化してきた。そのなかで、このLGBTQを題材にした映画が投下されることは意味のあることのように感じます。
――「多様性」への注目が高まったタイミングでの公開となりましたね。
そうですね。日本だけじゃなく、いろんな国の方にも見ていただいて、日本にもこういうカップルがいて、こういうことが起きていることを知ってもらえたら。海外は日本よりセクシャルマイノリティーなどへの意識が圧倒的に進んでいて、知識を持っている人も多いと思いますけど。
それに“マイノリティー”は“少数派”って意味ですけど、マジョリティーとマイノリティーを分けること自体が違うと思うんです。愛や性の形はカテゴライズしてはいけないものだと思うので、みんなが受け入れて、それがニュートラルな状態になる時代がきたらいいなと思います。変わってきていると思いますが、そういう世界を実現させたいという花笑さんの思いが詰まった作品なので、僕も同じ気持ちで宣伝していけたらと思っています。
◆取材・文=及川静
2022年1月14日(金)より新宿シネマカリテほか全国随時ロードショー
■坂東龍汰
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