今を懸命に生きる斉藤朱夏がライブで届けた言葉と強い想い
「またあした」を歌い終えた斉藤朱夏がステージをあとにすると、すぐにアンコールを求める手拍子が鳴り始める。鳴り止まない大きな手拍子に引き寄せられるように、Tシャツとジーンズに着替えた斉藤朱夏がステージに戻ってきた。アンコールで歌ったのは、彼女の生き様を歌った「もう無理、でも走る」とライブで声が出せない現状も相まって胸に響く「声をきかせて」だ。
アルバム『パッチワーク』の幕開けを飾る「もう無理、でも走る」と同作のラストを締めくくる「声をきかせて」を最後の最後に聴かせてくれた形になったが、2曲とも生命力が弾けるような歌声が、とても印象的だった。
早くまた斉藤朱夏の“声をきかせて”ほしい
最後までステージを見て、やはり斉藤朱夏史上最高のライブになる予感、そして途中で感じた確信は間違っていなかったなと思った。
今までの彼女は、良くも悪くもその強い思いがどうしても先走ってしまうきらいがあった。しかし、この日のライブでは彼女の強い想いと歌声が美しくシンクロし、しっかりと音楽的カタルシスを生み出すことに成功していた。その背景にあるのは、何より彼女自身の歌い手としての成長であることは間違いない。あの笑顔の裏で、彼女が人知れず歌を磨く努力をしてきたことが、この日のライブを見てよくわかった。そんな、素晴らしいライブだったと思う。
ライブの最後には、2022年4月に東名阪で開催される“朱演 2022 LIVE HOUSE TOUR『はじまりのサイン』”の開催が発表された。アンコールのラストで歌われたのは「声をきかせて」だったが、むしろ早くまた斉藤朱夏の“声をきかせて”ほしい。次は、再び斉藤朱夏史上最高のライブを更新してくれる。この日のライブを見終わった今は、そんな予感がしている。
(取材・文/大久保和則)
SETLIST(2021.12.10@パシフィコ横浜 国立大ホール)
01. ワンピース
02. くつひも
03. 恋のルーレット
04. あめあめ ふらるら
05. パパパ
06. ぴぴぴ
07. 36℃
08. よく笑う理由
09. ヒーローになりたかった
10. セカイノハテ
11. しゅしゅしゅ
12. Your Way My Way
13. またあした
<アンコール>
14. もう無理、でも走る
15. 声をきかせて
2022年4月13日(水)大阪府 なんばHatch
2022年4月22日(金)愛知県 Zepp Nagoya
2022年4月24日(日)東京都 チームスマイル・豊洲PIT
【斉藤朱夏 公式ホームページ】https://www.saitoshuka.jp/
【斉藤朱夏 公式Twitter】https://twitter.com/Saito_Shuka