【試写室】「警視庁・捜査一課長」“熱い空気”の中に爽やかな風

2017/04/13 06:00 配信

ドラマ

「警視庁・捜査一課長 season2」で捜査一課長・大岩を演じる内藤剛志(左)と新キャスト・刑部役の田中圭(右)(C)テレビ朝日


長寿ドラマには長寿ドラマの良さがあるというが、このドラマはまだシーズン2なのに早くもその言葉がピタリと当てはまるような、レギュラーメンバーの空気感がある。特にこのドラマの場合は、開始数分ですぐに「熱いなあ」と感じてしまう、“熱い空気”だ。

しかし、いきなり大岩一課長が冤罪問題でマスコミから追及されるという展開には驚いた。それでも全く信頼の揺らぐことがないメンバーたち。こういう人間クサイところもまた、このドラマの魅力だろう。

そんな本作、シーズン1との最大の違いは新メンバーの田中か演じる警部いやいや、巡査部長の刑部(ぎょうぶ)の加入だ。それも、刑部は前回鈴木裕樹演じる天笠刑事が担当していた捜査一課長の運転担当刑事だという。

優秀なビジネスマンを演じたり、人懐っこく不倫にいそしむ男を演じたり、上司にほれられる男だったり、本当に演技の幅が広い田中が、本作ではとにかくフレッシュで情熱を持って仕事にまい進する刑事を演じている。天笠よりもむしろ積極的に捜査に入り込んでかき乱していくところも、このドラマの世界に新しい風を吹かせていて、新鮮な印象を受けた。

“大福”こと斉藤演じる真琴に対して「大福先輩」って呼んじゃうあたりが、またフレッシュでいい。

そして、もはやことわざ辞典に載っているのではないかと思われる「困ったときの高橋ひとみ」に、「テレ朝刑事ドラマは大体友達」のバイプレーヤー・飯田基祐、まさかのキャスティング・ぺこと、個性が豊か過ぎるメンバーによる演技合戦は、いろいろな意味で楽しめる。

その3人よりも強烈な個性を放つのが、青梅・御岳山で登場するある女性(?)と、名女優・渡辺えりだ。特に後者は、まさにすごいの一言。目つきというか、顔から発せられるオーラが物言わずともダダ漏れしており、それは場面によって印象が全然違う。さすがは若い女優の憧れの女優だけのことはある。

その他、大岩と相対するときの本田博太郎の立ち居振る舞いは男が憧れる格好良さで、真琴(斉藤)と小山田(金田)の「大福の勘は頭の片隅に~」“コント”も相変わらずいい。このやりとりを見ると「帰ってきたなあ」と思うし、癒やされる。それ以外にも、第1話では“GS”のくだりなんか、何度も巻き戻して見てしまった。

癒やしで言うと、大岩一課長の愛猫・ビビは相変わらずかわいくて癒やされるし、妻・小春役の床嶋佳子のすべてを優しく包み込む感じがまたホッとする。こんな奥さんがいたらいいのになと、誰もが思うだろう。

ご多分に漏れず、私も思った。それも1年前から、結婚して娘ができたら「小春」でいこうと決めているくらいに。

しかし、全く私に“春”はこない…。