テレビ番組に精通するライターの前川ヤスタカが、地方番組に注目し、レビューしていく。今回は静岡朝日テレビで放送されている「霜降り明星のあてみなげ」(毎週木曜深夜0:15-)を取り上げる。
「M-1」優勝前から縁がある、霜降り明星と静岡朝日テレビ
「地上波レギュラー減ってる今だからこそ、あてみなげを大事にせな」
「霜降り明星のあてみなげ」2021年12月のレギュラー回で粗品から思わず出た言葉である。
「霜降り明星のあてみなげ」は2019年4月より静岡中心に放送されているバラエティ番組で、開始時点では霜降り明星にとって初めての地上波冠レギュラー番組であった(尚、同時期にテレビ朝日で「霜降りバラエティ」も開始)。
2019年4月という開始タイミングを見ると、2018年のM-1グランプリ優勝から満を持して始まったと思われるかもしれないが、静岡朝日テレビとの縁はM-1優勝のはるか以前、2017年9月から始まっている。
同局の運営するネットテレビ局SunSetTV(現在は閉局)で放送されていた「霜降り明星のパパユパユパユ」にて10万人視聴を達成すればご褒美として冠番組レギュラーという目標があり、それを見事にクリアして勝ち取ったのがこの「あてみなげ」なのだ。(ちなみにこの「パパユパユパユ」は1本5分程度のショート企画番組であり、作家として”三人目の霜降り明星”とも呼ばれる白武ときおが入っている。現在の彼らのYouTubeチャンネル「しもふりチューブ」にも通ずるものでもある。
2017年9月といえば、霜降り明星は若手登竜門のABCお笑いグランプリで大賞を受賞したばかりで「新しい波24」「AI-TV」などに大勢出演していた“次に来そうな若手”の中の一組でしかなかった頃。
その時点で将来の冠番組抜擢を見据え(プロデューサー曰く「超青田買いで」)、静岡とは縁もゆかりもない大阪の漫才コンビにローカルバラエティの命運を託していたというのは慧眼である。(もちろんこの時点でも関西では相応の知名度があり、とくに粗品については学生時代からオールザッツ漫才に出演する等、広く知られる存在であったが、全国区ではまだまだという状況であった)
そんな経緯から“静岡での知名度100%を目指す”というお題目で始まった「あてみなげ」。番組は静岡県内をゆるくロケをしながら毎回色々な企画をやっていくもので、基本的なテイストはこの3年間ほぼ変わっていないと言ってもよいだろう。