渡辺氏:最近はドラマの予告でも「TVerのマイリスト登録をお願いします」と告知を入れてくださって、感動的です(笑)。それくらい、テレビ局でも再生数などを意識されているんだろうと思います。マイリスト登録の数は、ある意味地上波の視聴率よりもダイレクトに跳ね返ってくるんですよね。視聴者の方にしっかり定着すると言いますか…ドラマはどうしても一度見逃すと「まぁいいか」となりがちですが、「TVer」があれば、放送に間に合わなくても見ていただけて、その次の週の視聴につながったりして。そこは地上波のテレビと「TVer」がWin-Winになれているところだと思います。
特集の企画を持ち込んだときの反応も、最近はガラッと変わりましたね。約50番組で始まったサービスですから、最初は「何でそんなに手伝わないといけないの?」という空気でした(笑)。それが今は常時400番組くらいを配信していることもあり、快く協力していただけます。
ちなみに、番組サイドはやはり再生数とマイリスト登録の数を基本に見ているようです。データは、われわれサービスの中の人間が見ているデータと同じ、日報のようなものをテレビ局と共有しています。テレビの“視聴率”は、どうしても「何曜の何時に放送された」「裏番組が強かった」といった要素に影響されてしまいます。ですが「TVer」は関係なく、深夜番組でもゴールデンド真ん中の番組でも“よーいどん”で戦える。そこは作り手も出る方も意識されていて、「マイリスト登録が増えればアピールになる」と感じていると思います。ユーザーの方も、「TVerで毎回見ているけど、何曜何時からの番組かは知らない」という方もかなりいるのではないでしょうか。
渡辺氏:やはりコロナ禍だと思います。おうちにいる時間が増えて、普段はいないお父さんが家にいるから、子供がテレビを見られなくてスマホで見る…ということもあったでしょう。この1年2年で急にユーザーの数も増えましたし、何より出演者の皆さんが「TVer」を意識してくださるようになったなと感じます。バラエティ番組なんかでも、芸人さんが「今のは『TVer』のサムネ(サムネイル画像)になる」と発言されていたりしますよね(笑)。また、ある女優さんは「お仕事柄いろいろな番組を見なければいけないけれど、『TVer』なら控室で見られるからすごく便利だ」とおっしゃっていました。
渡辺氏:過去のドラマ特集は圧倒的に再生されます。「花より男子」(TBS系)なんかはずっとランキング上位にあって、すごいなぁと感じていました。再生数での反響ではありませんが、2021年の“バラエティ番組の神回”特集も反響がありました。こちらが番組を指定してお願いするのではなく、各局に選んでもらったバラエティの“神回”を配信するというものですね。話題になって、霜降り明星のせいやさんが「これ“神回”行きやん」と番組で言ってくださることもありました(笑)。番組の中で「TVer、TVer」と言ってくださるサービスになったんだなと思うと感慨深いものがあります。サービス開始当初も言ってくださる方はいたのかもしれませんが、「『TVer』って何?」と、カットされていたと思うんです。それが今は制作者側も一緒になって盛り上がってくれる。それが大きいのかなと思います。