渡辺氏:直近24時間の再生数を、リアルタイムで5分置きに集計し直しています。なので常に最新のランキングが表示されています。
「TVer」はドラマのイメージが強いと思いますが、厳密に再生数を見てみると、実はドラマもバラエティも半々くらいなんです。1日何十本もあるバラエティに比べると、ドラマは1日に2、3本しかない。母数の違いで再生数がドラマに集中して、ランキングにはドラマが並びやすくなっているんですね。現状だと“バラエティを見ている方も多くいる”ことが伝わりづらい形になってしまっているので、「もっと見せ方があるんじゃないか」という話もしています。たとえばバラエティやアニメなどジャンル別のランキングを設けるなど…いろいろ企んでいますので、ご期待ください。
渡辺氏:テレビではできない機能でいうと、倍速再生はかなりの方が使ってくださっているだろうと思います。それから、「ここが面白い」というところからSNSなどでシェアできる機能もそうですね。「昨日はこれくらい使われました」というデータも出ています。ドラマは最初から最後まで通して見る方が多いですが、お笑い番組などは「○○のところが面白かった」と、そのシーンでシェアできるので便利だと思います。
このような動画配信サービスならではの機能を取り入れた裏には、検討と戦いの歴史があります(笑)。倍速機能なんて、ドラマの制作陣からすると「この倍速ボタンは何だ」という反発も当然あったと思うんですよ。元々テレビは王様として君臨していた歴史もありますし、“テレビのプライド”もある。実際、私もテレビ局の出身です。ですが、今のユーザーに合わせていかないと。「月曜の夜9時はテレビの前に集まって“月9”を見てください」といくら言っても、もはや限界がある…ということは、テレビ局も理解しています。それこそ、YouTubeに違法アップロード動画があふれていたのは、テレビがネット配信しなかったからですよね。きちんとサービスとして配信すると、そういった動画も減ってくる。テレビとネット、両者の歩み寄りや技術の進歩、権利の問題なども絡み、“こうあるべきだ”という姿もどんどん変わっていると思います。
渡辺氏:ローカル番組がたくさん見られるというのも「TVer」の魅力の一つ。「TVer」でも配信することで、地方で作られた番組が地元だけでなく首都圏でも多く見られた、ということもしょっちゅう起きています。実際、千鳥さんの「相席食堂」(ABCテレビ)は全国ネットではないですが、全バラエティの中でも再生数は常に上位に入る。今後はそんな地方発の人気番組を増やしていきたいですね。よく「ネットでバズった」なんて言いますが、私どもとしては、ローカルの光る番組が“バズる”お手伝いをしていきたい。東京の番組を一方通行で届けるだけではなく、例えば鹿児島の番組を東京の人が腹を抱えて笑いながら見る、といったことができるのも、ネットの時代ならではだろうなと思います。ちなみに、2月14日(月)から約2週間、「このローカル番組がおもしろい!2022」という特集を作って、私たちがオススメする5番組を紹介しています。ぜひのぞいてみてください。
もちろん番組数も、もっともっと増やしていきたいです。例えば、「ラヴィット!」(TBS系)は配信していますが「モーニングショー」(テレビ朝日系)や「スッキリ」(日本テレビ系)はない。では、どうしたら配信できるのか…というところも検討していきます。