3世代約100年にわたる女性たちの人生を描く連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は月~金曜の振り返り)。2月28日放送の第83回では、スター・二代目“モモケン”こと桃山剣之介(尾上菊之助)と大部屋俳優・伴虚無蔵(松重豊)の対話に感動の声が集まった。(以下、ネタバレがあります)
「あんたじゃダメなんだ」
「カムカムエヴリバディ」は上白石萌音、深津絵里、川栄李奈がヒロインのバトンを繋いでいく異例スタイル。現在は、安子(上白石)の孫でるい(深津)と錠一郎(オダギリジョー)の娘・ひなた(川栄)の人生を描く“ひなた編” 第18週「1984-1992」を放送している。
“日本の映画史上まれに見る駄作”とまで言われた初代桃山剣之介(尾上菊之助=2役)の映画「妖術七変化!隠れ里の決闘」が二代目剣之介主演で再映画化されることに。初代版「妖術七変化!―」で敵役・左近を演じた虚無蔵が、左近役オーディションに参加するエピソードが描かれた。
「30番さんは、一度は左近を演じたお人。ひとつ、私がお相手いたしましょう」と立ち上がり、虚無蔵に向き合った剣之介。みごとな立ち回りのあと、左近役の虚無蔵が斬られ、壮絶な演技で倒れ込んだ。
その姿を見て、剣之介は「これが、父が見た景色なんですね。20年前に…」としみじみ。「だけどね虚無さん。あんたじゃダメなんだ」「私は、私の左近を探しにきたんです。父があんたという左近を見つけたように。あんたに頼ったんじゃ、父を超えられない」。虚無蔵の目を見つめながら、きっぱりと口にした。
いずまいを正し、「ありがとうございました」と頭を下げた虚無蔵。剣之介は、その背中に「父は言ってました。伴虚無蔵は、桃山団五郎よりずっといい役者だと。父は役者として、あんたに一目置いていたんです」と伝えた。
「私はスターですよ」
後ろ姿のまま「なんでもっと早うに言うてくれへんかったんですか」と問いかけた虚無蔵。剣之介が笑顔で「なんでって?私はスターですよ。大部屋なんぞに、軽々しく声はかけません」と答えると、虚無蔵は向き直り、つきもののとれたようなさっぱりした表情で「恐れ入りました」と言い残し、去っていった。