パペットの「かいせついん」がハードルを下げてくれる
「おんがくこうろん」は、毎回1人の「歴史を変えた音楽家」を取り上げる。第1夜は「J・ディラ」、第2夜(2月18日放送)は「ジョージ・ガーシュウィン」、第3夜(2月25日放送)は「アリー・ウィリス」、そして3月11日放送予定の第4夜は「中村八大」にスポットを当てる。
……と言っても、名前に馴染みがない方のほうが多いかもしれない。それもそのはず、そもそもこの番組の企画自体、星野源が「テレビで取り上げられることが少なめな、作曲家、編曲家、サウンドプロデューサーの話を誰かと語り合いたい」と立ち上げたもの。第1夜では自ら「やべぇ番組」が始まったと言うほどである。
多くの人に馴染みがない物事を伝えるには、それなりの工夫がいる。そこで「おんがくこうろん」が選んだのは「NHKの教養番組」というフォーマットだった。冒頭では取り上げる音楽家を1分のVTRにまとめ、その後は貴重な映像やインタビュー、解説員による解説を挟みながら、その生涯を掘り下げていく。
が、パペットの「かいせついん」が口をパクパクさせながら、身振り手振りで解説する姿はなんとも心が和むもの。脇に置かれたターンテーブルで「よいしょ」とレコードをかけるのもかわいい。曲がかかれば、うっとりと聴き入ったり、ゆらゆらとノっていたりする。
そんなパペットたちを、番組ではちゃんと「人」として扱う。出演者の2人は「かいせついん」の目を見て話に耳を傾けるし、VTR中も「VTRを見ながらうなずくパペット」の姿がワイプで抜かれていたりする。
つまり、ここは「NHKの教養番組」という形を取りながら、人間とパペットが共存する「Eテレ」の世界でもあるのだ。そんな世界観が、学ぶ側のハードルをぐっと下げてくれる。