――これから10年のことも考えましたか?
坂口:僕、10年後こんな仕事をしていたい、こんな俳優になっていたいとか、そういう目標を定めるのが得意ではないんですね。人生設計をしない方が楽でいられるし、ある程度未来をぼやけさせていた方が寄り道をしながら自分のペースで歩いていけるというか。僕はこの作品をやって、瞬間瞬間を大切にしたいなと思ったからこそ、逆にもっと目標を定めなくなったかも。
小松:私もそうかも。自然な流れに委ねています。何が起こるかわからないのも楽しいなって。今ある人生も10年前は全く想像もしていなかったですし。でも、私は来年したいことをメモはしているんです。行きたいところとか、やり遂げたいこととか、とにかく自分がプライベートでしたいことを1年毎に書いて、それを達成していくみたいなことはしています。先のことは誰にもわからないから、近いところだけを見ていますね。
――では、この作品を通して、自身の中での価値観や考え方などが変わったことはありましたか?
坂口:すごく月並みな答えかもしれないですけど、どこかもう一層深い、根本的な部分での“一日を大切にしよう”感がプラスされたというか。丁寧に生きたい、じゃないですけど。この余命10年という時間って、遺される人たちにとってもいなくなっちゃう人にとっても、ある種ちゃんと心の準備をさせてくれる期間でもあると思うんですよね。だから、必ずしもそれが悲しいことだけではないなということは思いました。
小松:私はこの映画を観たあとに、「ちゃんと生きよう」って思えたんです。限られた人生だから、自分がワクワクすることを大切にしたいなと。「何となくだけど、今じゃなきゃダメだ!」みたいなことに挑戦していこうって思いました。そういう動物的直感みたいなものを大事にしたいんです。あと、近くにいてくれる人の大切さにも改めて気付かされました。
◆取材・文=戸塚安友奈
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