<フィッシュマンズ"HISTORY Of Fishmans"[Day.1] 1991-1994>まさかの未発表曲まで! 超貴重なレア曲が続出したライブを完全レポート

2022/03/07 06:00 配信

音楽

フィッシュマンズのデビュー30周年を記念したワンマンライブ“HISTORY Of Fishmans”が、3月1日と3月2日の2日間にわたって東京・恵比寿のLIQUIDROOMにて開催された。今回は、「フィッシュマンズ"HISTORY Of Fishmans"[Day.1] 1991-1994」と題した初日の模様をレポートする。

近年のライブで最も収容人数が少ないLIQUIDROOMでのライブは超プレミアムチケットに! 写真:西槇太一(※提供写真)


ライブへの期待が最高潮に高まる中で発表された今回の2DAYS


1991年のデビュー以降、日本の音楽シーンに影響を与え続けてきた孤高のバンド、フィッシュマンズ。ボーカル・佐藤伸治が1999年に逝去して以降も、かつてのメンバーやサポートミュージシャン、ゲストボーカルらを招いてライブ活動を継続し、近年も新たなファンを獲得し続けている。

また、音楽ストリーミングサービスなどを通じて彼らの音楽にたどり着いた海外のリスナーからも絶賛の声が相次いでおり、アルバム『LONG SEASON』や佐藤存命時のラストライブを収めたライブ盤『98.12.28 男達の別れ』が海外のサイトでオールタイム・ベストにランクインしたことも大きな話題に。

2021年には、これまでのバンドの歩みを総括したドキュメンタリー作品「映画:フィッシュマンズ」が公開。これまで当事者たちが多くを語ってこなかったバンドのヒストリーを総括する本作は、公開から半年以上が経過しても各地で上映され続け、彼らの存在を今一度世に知らしめることとなった。

そんなフィッシュマンズを語る上で欠かすことができないのがライブ。生粋の“ライブバンド”である彼らのライブは時に3時間超えの長丁場となることもあるが、音源から飛躍したスケールの大きな演奏は圧倒的。どうしてもライブの本数が限られてしまうため、毎回チケットはプラチナ化している。

こうして彼らのライブへの期待が最高潮に達する中で発表されたのは、デビュー以降の彼らのキャリアを前期と後期に分け、それぞれの時代にリリースされた楽曲を演奏するという初の試み。しかも会場はかつてフィッシュマンズが数々のライブを行ったLIQUIDROOMとあって、チケットは両日ともに即完となった。


前半からデビュー当時のレア曲が!


この日のライブには、元メンバーの小嶋謙介と、フィッシュマンズのサウンドを支えたエンジニア・ZAKも開演前のDJとして参加。中でも、開演直前のSEではフィッシュマンズの未発表曲が流されるなど、このバンドを愛してやまない観客たちを早くも喜ばせる。

そして、“Oh!crime”の印象的なリフレインが鳴り響く中メンバーが登場。今回のメンバーは茂木欣一(Dr./Vo.)、柏原譲(Ba.)、HAKASE-SUN(Key.)、木暮晋也(Gt.)、関口“dARTs”道生(Gt.)、原田郁子(Vo.)というおなじみの面々。

茂木は「皆さんこんばんは、ザ・フィッシュマンズ!」というシンプルな言葉に続けてバンドメンバーを紹介。さらに、「まだまだ紹介したい大切な仲間たち…」という言葉とともにHONZI、佐藤の名前を告げると、観客からは一際大きな拍手が巻き起こる。そこからジャムセッション風に“Oh!crime”の演奏へなだれ込んでいく。

続いては“チャンス”。イントロの印象的なトランペットパートは関口がギターで演奏。後半にはダブっぽいエフェクトや飛行機のエンジン音を模した音が飛び出すなど、ちょっとした遊び心に溢れたサウンドは初期の音源に見られるポップさを体現しているようにも感じられる。

木暮がアコギに持ち替え披露したのは“いなごが飛んでる”。近年のライブではほとんど披露したことのないデビュー当初の楽曲が聴けるのもこの日ならでは。レゲエやダブのビートを基調とした曲が多い中、こうしたギターポップ的な佇まいの楽曲は今聞くと新鮮かもしれない。