何よりもクオリティーを第一に考えています
──小説原作の多い「ドラマW」ですが、「連続ドラマW」の第1作「パンドラ」('08年)はオリジナル作品でした。
「ゼロから作品を作るのは難しいし、PR的にも原作がないと視聴者に届くまでに時間が掛かる。でも、あのときのノウハウは確実に今に生きているし、『パンドラ』のおかげでアイデアを絞り出す訓練ができたように思います。それまでは脚本について意見は言えても、具体的にどうしたらいいか良いアイディアが浮かばないことが多かったんですよ。ドラマ作りの方法論が分かってきて、脚本作りもより楽しくなりましたね」
──ドラマ作りにおいて、地上波の局とWOWOWの一番大きな違いを挙げるとすると?
「細かな違いはあれど、一番はスポンサーがいるかいないか、ですね。視聴者がクライアントであるということ。視聴者のことだけを考えて作る…“視聴者ファースト”って言うのかな(笑)、そこがわれわれの一番の強みなのかなと思いますね。例えば、『空飛ぶタイヤ』というのは僕にとって大きな作品で、賞もたくさん頂きましたけど、あれは地上波だったら、いろいろな制約があって作れない作品だったと思うんですよ。見てくださった方にも『WOWOWに入っててよかった』と思っていただける作品になったんじゃないかと」
── 一方で、地上波のテレビ局との共同制作にも積極的ですね。
「WOWOWの加入者を増やすには新しい視聴者層を開拓しないと、というのがあって。でも、地上波の局にとっては、やはり視聴率を獲ることが一番の命題ですよね。もちろん、数字も大切なんですが、それよりもクオリティーを第一に考えています。お金を頂いている以上、チープなものをお見せするのは罪悪感がありますから」