吉岡「出会えて本当によかったなと」
――ドラマの話を受けた時の率直な感想を教えてください。
主人公の純介と静の親子の在り方やコーダ(=聞こえない親を持つ聞こえる子ども)の心情に寄り添った脚本が素晴らしいなと感じました。聞こえない父と、聞こえる人々をつなぐために、2人がいろんな方法を試行錯誤しながら生活してきたという裏側がコミカルに明るく描かれるこの作品に出会えて、本当によかったなと思いました。
――共演者の笑福亭鶴瓶さんと、静と引かれ合う圭一を演じる中島裕翔さんの印象を教えてください。
笑福亭鶴瓶さんはテレビで拝見する印象と同じように、本当に面白くて笑いの絶えない方だなと感じました。純介が持つ父親の底抜けの明るさが鶴瓶さん自身とリンクしていて、一緒にお芝居をしていて楽しくて仕方ないです。鶴瓶さんがこれまでお仕事を通してさまざまな方と触れ合ってきた姿は本当にかっこよくて、笑福亭鶴瓶さんという偉大な方のお話をいつもそばで聞けるのがうれしいですし、役得だなと思っています。
中島さんが演じられる圭一は絶妙に難しい役柄だなと台本を読んで感じています。言動が人とは違う不思議なキャラクターですが、押しつけがましくも他人に興味がないわけでもなく、中島さんはごく自然に愛くるしい人物像として演じてらっしゃって、本読みの時に中島さんが圭一役で本当によかったと思いました。中島さんの演じる圭一だからこそ、静が心を開いていけるんだなと撮影していて感じています。
吉岡「間近で『鶴瓶の家族に乾杯』を見ている気持ち」
――撮影現場での印象深い出来事を教えてください。
栃木で撮影をすることが多い中、街行く人たちがみんな鶴瓶さんのお友達なのかと思うくらい、自然に交流が生まれていて、常に間近で「鶴瓶の家族に乾杯」(毎週月曜夜7:30、NHK総合)を見ている気持ちです。「鶴瓶さーん!」と街の方が手を振られると、それに対して、鶴瓶さんが自然に返事をしていて、「え!知り合いの方なんですか?」と聞くと「いや、知らん(笑)」みたいなことが何度もあって面白いです。“日本全国が庭”という感じが伝わってきて、一緒に撮影していると驚くことが多いです。先日の撮影でも、ロケ現場で鶴瓶さんとお話しされていた街の方がお団子を差し入れしてくださりました。街の人に愛されていて、耳が聞こえない中でも誰よりもコミュニケーションを取っているという純介の人物像にぴったりだなと思います。
――撮影の中で、印象的だったシーンを教えてください。
印象的なシーンはたくさんありますが、好きなシーンはけんかをするシーンです。純介と手話でけんかするシーンは、言葉でぶつけるより、もっと深いところでけんかをしているような不思議な感覚があります。圭一とのシーンでは、やっぱりデートのシーンがとても印象深いです。圭一が父を大事にしている静をちゃんと見てくれているのが分かるデートになっていて、とても良いシーンだなと思いました。