吉岡「勉強したいという意欲が日々増えています」
――純介の耳代わり・口代わりをする静を演じるうえで、意識したことや難しかったことはありましたか?
話しながら手話をすることに日々奮闘しています。静は純介と聞こえる人の間の通訳も担うのですが、通訳するときはしゃべらずにその人の話したタイミングを全部読み取って、区切りをつけて、手話を始めるという決まり事があるので、それを覚えて実行することが技術として大変です。話しながらスピーディーに行う手話と、純介に伝えるために、人の話を聞いてからその内容をかみ砕いて手話をするという違いを表現するのが難しいです。
――手話はどのように覚えられましたか?
実際にコーダのはせ亜美さんという方に教えていただきました。はせ亜美さんが、本当に優しくて、もっと頑張ろうと思えるような教え方をしてくださって、毎回、手話のシーンが終わると「さっきのシーンの表現がすてきだった」とか「ここすごいコーダっぽくて成長したなって思ったよ」などとても褒めてくださいます。はせ亜美さんが先生で良かったなと思いますし、はせ亜美さんのおかげで勉強したいという意欲が日々増えています。鶴瓶さんに手話を教えている江副さんも一緒に、撮影現場で手話を交えながら他愛もないおしゃべりをしたり、冗談を言い合ったり。待ち時間も本編で手話をする時の気持ちの入れ方や手話の出し方につながっていて、とてもお世話になっています。
――コーダの役を演じて、演じる前と後で見えてきたものや変化したものはありますか?
コーダ目線で世の中や人とのコミュニケーションに触れると、今までとは全然違うなと感じました。静は、父と周りの人が会話したものを通訳するという前提にあるので、誰よりも話を聞こうとします。でも、相手を見ながらも父親の純介に伝えるためという目的意識があるので、人と会話しているようで、実は父親と会話しているという不思議な構図になっていて、生活するうえで、2倍パワーがいるなと思いました。
――静にとって父・純介の存在をどのように感じていますでしょうか?
なくてはならない存在です。静も純介も、お互いがお互いを真っすぐ立てるために支え合っているという存在なのかなと思います。静にとって純介は、愛情を一番注いできた人で、自分の全てを注いでいくのが当たり前だと思ってきた人だと思います。
吉岡「意識すればするほど使っているなと(笑)」
――静と共通する部分や似ている部分はありましたか?
家族がとても好きで、家族の役に立ちたいと思っているという感情はとても共感しました。父親がカメラマンというのも共通点ですし、悩んでも立ち上がりが早いという部分は似ているかなと思います。
――静は純介の世話をしていく中で独特なクセが身に付きますが、吉岡さん自身の止められないクセなどはありますか?
「本当に」とか「すっごく」という言葉をよく使っているなと思います。恥ずかしくてあまり使わないようにしようと思っているんですけど、意識すればするほど使っているなと(笑)。行動面だと、人よりも水分をたくさん取ります。一日中、何か飲んでいる気がします(笑)。
――ドラマの注目ポイントを教えてください。
一番は純介と静の親子の形ですね。どれだけお互いがお互いを支え合ってきたのかという部分や、大事に思うが故に衝突しながらも二人で乗り越えていくという部分が毎話の見どころかなと思っています。耳が聞こえないことで誤解が生じた時、前向きに問題を解決していくさまが、耳が聞こえない人にだけではなく、たくさんの人の心を打つものがあるかなと思います。私は、台本を読んでいて毎回心打たれているので、ぜひ観ていただきたいなと思います。
読者の皆さんへメッセージ!
――最後に読者にメッセージをお願いします!
「しずかちゃんとパパ」は耳の聞こえないお父さんと、そのお父さんとずっと暮らしてきた静という二人の親子の物語です。一人の男性と出会って親離れ子離れをしていく過程の中で、いろいろな家族の愛や、立ちはだかる壁への向き合い方など、届けたいメッセージが詰まっている作品です。全然、重くなく、笑いながら見ていただけると思うので、楽しみに待っていてください。