太田光、最新コンテンツを見続ける理由「みんなが面白いと言う作品はどんなものなんだろう」
――太田さんはアニメ好きとしても知られていますが、これまでで特に影響を受けた作品は何ですか。
やっぱり、僕らのときは、「宇宙戦艦ヤマト」ですね。アニメブームというのは、あそこからですから。まさにそれをリアルタイムで見ているわけですから、アニメは僕らから始まっているんですよ。俺が始めたんですよ(笑)。
――その一方で、「鬼滅の刃」などの現在の流行りコンテンツもしっかり押さえている印象です。年齢を重ねても、今のコンテンツを見続けるモチベーションはどこにあるのでしょうか。
「鬼滅の刃」とか「東京リベンジャーズ」とか、「そんなにみんなが面白いと言う作品は、一体どんなものなんだろう」というのは、普通に興味があるんですよね。だからやっぱり見たくなるし、見ると「ああ、なるほど!これは面白いな」とわかるという。でもどの作品も結構長く続いているので、他の作品も見ているうちに、「あ、この作品はしばらく見てなかったから、ストーリーが分からなくなった」「あれ、こいつ誰だっけ」ってこともよくあります(笑)。それで、またもう一回戻って確かめながら見たりするから、なかなか話が進まなかったりするんだけど(笑)。
“文学的な価値高い”最近のアニメ「哲学的なメッセージまで描いている」
――アニメ好きの太田さんにお聞きします。特に最近は暗いニュースも多いですが、そんな中で、アニメだからこそ持つ力は何だと思いますか。
僕は子どもの頃から、SFとかサスペンスミステリーが大好きでやっぱり面白かったんですよね。実は日本の文学界の中では、わりと大衆向けではなかったんだけど。でも、そこから「宇宙戦艦ヤマト」の大ブームがあって、その後も「機動戦士ガンダム」や「エヴァンゲリオン」が出てきて、いわゆるSFというのは当たり前のようにみんなに受け入れられるようになりました。今やもう日本の文化の中心にいるわけじゃないですか。俺らが子どもの頃に見ていたアニメよりもどんどん話も複雑になっていて、「戦争がいかに不毛なことであるか」「“平和”とは何だろう」というような哲学的なメッセージまでアニメの中で描いているから、意義があるし文学的な価値も高いと思います。
――なるほど。
たとえば、「鬼滅の刃」にしても、「(敵役である)鬼にも、鬼の悲しい過去がある」みたいなね。子どものときから、いわゆるただの“正義と悪”だけでは語れないんだと感じることができるのはすごいことだよね。昔のアニメは、もっと単純な勧善懲悪でしたから。最近のアニメは、様々な部分まで繊細につくっていてすごいと思います。
――そういった意味では、今作の「アイス・エイジ バックの大冒険」も“家族愛”がひとつのテーマとなっていますね。
「アイス・エイジ」って全然違う動物たちの“疑似家族”なんですよね。それこそ今、多様性ってよく言われるけど、まさにマンモスとナマケモノとサーベルタイガーと、最初は合わなかったり、揉めたりしながらも、彼らにとっては一緒にいることが重要になっていくという。だから「アイス・エイジ」は、“家族”に対する考え方も自由ですよね。
――そのうえで、「アイス・エイジ バックの大冒険」で特に見てほしいところはありますか。
今回は、バックって前も出ていたんだけど、バックが出てくると、シドが主役から追いやられちゃうんだよね。だからバックのこと、俺は気に入らない(笑)。でも映画全体でいうと、とにかく絵がきれい。唇の動きや瞬きとか、風にそよぐマンモスの毛の1本1本とか、氷の世界の背景であるとか、本当にすごいですよ。もちろん声も聞いてほしいんだけど、絵を見ているだけでも本当に見応えがあると思います。