コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、シミズヒロノリさんの描いた『悪役のゆずれない一日』を紹介。同作は、悪の機械怪人とその生みの親である博士の2人が正義のヒーローを倒そうと奮闘する様子を描いた漫画。悪役目線で描かれた独特なストーリーが話題を呼び、Twitterで作品を投稿した際には、2万以上の「いいね」と、多くの感想コメントが寄せられた。4月5日からは同作と世界線を共有した『保護者怪人ジェノサイバー』の連載が「くらげバンチ」(新潮社)にてスタートしており、こちらは保護者役のジェノサイバーと普通の生活を送りたい女子高生のあわただしくもほほえましい日常を描いたコメディ漫画となっている。この記事では作者のシミズヒロノリさんにインタビューし、作品へのこだわりなどを伺った。
悪役にだって負けられない戦いがある。怪人と博士の絆の物語に涙する人続出
機械怪人ジェノサイバーと、彼の生みの親である博士は世界征服を夢見る悪役コンビ。正義のヒーロー・ジャスティスマンを倒すべく奮闘する日々を送っていた。しかし、何度戦いを挑んでもいつも負けてばかり。その日、通算999回目になる戦いにも、あっけなく負けてしまう。
アパートに帰っていつものように反省会を開く2人。次こそは勝とうと意気込むジェノサイバーだったが、博士はなんだか元気がない様子。幾度挑んでも勝てないという現状に諦めかけてしまっているようだった。
そんな博士を見て、こっそり1人でジャスティスマンに戦いを挑みに行くジェノサイバー。果敢に立ち向かうジェノサイバーだったが、やはり勝てるわけはなく、すぐに倒されてしまう。しかし、今日の彼は何度倒されても立ち上がって挑み続ける。「何度来たって結果は変わらない」。ジャスティスマンにそう言われながらも決して諦めずに立ち向かっていく。
実は彼には自分を生み出してくれた博士の夢を叶えたいという思いがあったのだ。博士の夢は「いつか悪役の勝つところを見たい」というもの。正義に倒されるという通説に逆らい、倒されても笑って何度も立ち上がる悪役の姿に憧れた彼女のヒーローになるべく、ボロボロになりながらも戦うことを諦めなかったのだった。
しかしジャスティスマンも自身の信念を持つ正義のヒーロー。そんな事情を知っても手を緩めることはなかった。大切な人のために諦めず向かってくるジェノサイバーを認めながらも、渾身のパワーを込めたジャスティスビームを発射する。
お互いの信念のために戦う2人に訪れる結末とは…。
普段は正義の裏に隠れてしまう悪役側にスポットライトを当てて描かれた本作。悪の怪人ジェノサイバーの諦めない姿と博士との絆に、Twitterでは「目から涙が…」「感動しました」「泣ける…」などの感想が多く寄せられた。
現在連載中の『保護者怪人ジェノサイバー』では、ジェノサイバーと博士のその後の物語が描かれている。ひょんなことから女子高生・シオカの「保護者」となったジェノサイバーが、時に疎まれながらも必死に世話を焼く様子と、2人のドタバタな生活を垣間見ることができる。ぜひ『悪役のゆずれない一日』と合わせて読んでみてはいかがだろうか。
「夢を諦めない姿を描きたい」作者・シミズさんが主人公を“悪役”にした理由とは
ーー『悪役のゆずれない一日』を創作したきっかけや経緯をお教えください。
もともと人外×少女という組み合わせが好きで、さらに「コワモテな見た目だけど良い奴」といったようなギャップも出したくて、そういった要素を活かせる漫画として考えました。
ーー悪役側の視点で物語を描いた理由や思いがあれば、お教えください。
王道ですが「夢を諦めない」というようなドラマが好きで、そういったものを描きたいと考えた時に正義の味方よりも「いつも負け試合の悪役」の方がそのドラマに沿っているかなと考え、この作品の主人公は悪役側にすることにしました。
ーー同作を描くうえでこだわった点、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
主人公のジェノサイバーには人間らしい表情は見えませんが、見えなくてもどんな気持ちか感じられるよう気を遣いました。
ーーTwitterで同作を投稿された際、読者やユーザーの反響はいかがでしたでしょうか?
感動してもらったり、面白いと言ってもらえたり。好意的な感想など沢山いただけてとても嬉しかったです。
ーー4月より『保護者怪人ジェノサイバー』の連載を開始されていますが、ストーリーや見どころについてお教えください。
『保護者怪人ジェノサイバー』はこの読切作品の後の時系列として描いています。もちろん読んでいなくても楽しめるように描いていますが、この作品を読んだ方にはさらに楽しんでもらえるかと思います。「保護者」となった悪の機会怪人ジェノサイバーは、未熟ながらも日々を全力で生きています。そんなジェノサイバーと「普通」になりたい女子高生シオカの2人のドタバタを楽しく見守ってあげてください。
ーーシミズさんは、Twitterで多くの作品を投稿されていますが、積極的にTwitterを活用している理由があればお教えください。
僕自身がTwitterを使っていて、素敵な漫画やイラストを知る機会が沢山あるので、Twitterを使えば自分の作品もたくさんの人に知ってもらえると思ったからです。
ーー最後にファンや読者にメッセージがあればお願いします。
漫画を読んだ方から感想をいただけた時、本当に元気をもらっています、ありがとうございます。漫画を通してお返しできればと思いますので、これからもよろしくお願いします。