俳優の渡辺謙が4月6日、都内で行われたドラマ「TOKYO VICE」(WOWOWにて4月7日夜6:00より日米同時配信)来日記者会見に、主演のアンセル・エルゴート、共演の菊地凛子、伊藤英明、笠松将、山下智久とともに出席した。
本作は、マイケル・マンが全編オール日本ロケで描く、日米俳優が共演するドラマ・シリーズ。1990年代の東京アンダーグラウンドを舞台に、世界で最もきらびやかな大都会として憧れられた東京のリアルで凶暴な裏の姿を描く。
こんなに楽しくて面白くて豊かな現場を体験できてうれしかった
アンセルが演じる新聞記者・ジェイクと組んで危険なネタに踏み込む敏腕刑事・片桐役を演じた渡辺は、ハリウッド作品を全編日本ロケで行っての感想を聞かれると「1990年代を描くということで、とても近いようで結構古くて、街の景色にしても衣装にしても、小道具一つにしても、非常に近いようで遠いので、マイケル・マンのリアリスティックな表現に全スタッフがついていくのが大変でした」と苦労を告白。
「でも、全員がこんなに大変な仕事は初めてだけど、こんなに楽しくて面白くて豊かな現場を体験できてうれしかったと話していました」と充実した表情を浮かべた。
続けて、「ある意味、日本の時代が大きく揺れ動くカオスな時代で、脚本のJ.T.ロジャースがそれぞれのキャストに素晴らしいバックグラウンドを書いてくれたんですね。それぞれ含みを持たせた脚本を書いてくれたので、そういう意味では本当にやりがいのある作品でしたし、1本の映画で描ききれないストーリーが8話の中に、もしかしたら8話でも描ききれていないストーリーがあるんですね。それを、これだけの大きいプロジェクトの中で参加できたというのは楽しみでもありますし、この先も僕自身楽しみにしています」と胸を躍らせた。
また、本作のエグゼクティブプロデューサーも務める渡辺は、“世界で最も撮影が難しい都市”といわれる東京での撮影に苦労したことを明かし、今後、東京での撮影が容易になるために必要なことを聞かれると、現状は「まず許可を取ることが難しいです」と話す。
「海外で撮影するときはポリスがガードしてくれたりします。今回もそういう許可をいくつか取れたんですけど、それを取るためにはすごく高いハードルを越えなきゃいけないんですね。ですから、映画やドラマの撮影というものが大事な文化なんだということを行政にもご理解いただいて、できるだけハードルを下げていただいて、僕らもそのルールをちゃんと守るということを、地道に続けていくしかないのかなという気がしていますし、もしかしたらこの作品が次のハードルを少し下げてくれる要因になればうれしいなと思います」と期待を寄せた。
◆取材・文=風間直人
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