最終話レビュー
最終話は、溺死体で見つかった女性をマリコらが検視する場面からスタート。やがて、被害者はある町の前町長であること、誰かに突き飛ばされた可能性があることなどが判明する。
同作を見る度驚かされるのが、科捜研に備わるさまざまな高精度機器たち。斉藤暁演じる日野所長が使う指紋鑑定機器などの画期的な機器には、純粋に興味をかき立てられる。また、共有スペースでモニターを使いこなし、捜査結果を報告し合う科捜研メンバーの姿にも、わくわくと感興を覚えてしまうのだ。
捜査を進めるうちに、マリコらは、インターネット上にあふれた前町長にまつわる無数の“フェイクニュース”の存在を知ることになる。そこには、被害者一人を狙い撃ちするような容赦のない書き込みや、「#天罰 #神罰 #制裁」などのハッシュタグが。“フェイクニュース”に大衆が誘導され、やがてそれが世論となり、犯罪まで呼び起こしてしまう危険性には、恐怖を感じずにはいられない。
そして、ここで黒髪の女性の後ろ姿が映し出される。PCの前に座る女性が見つめるモニターには、捜査中のマリコと蒲原刑事(石井一彰)の姿が。なんだか嫌な予感…。
画面が切り替わると、女性の正体が、2021年12月16日放送の第8話で、殺人AI・“UMA2”を操る天才研究者・宮越優真として登場した美村里江だと分かる。「あなたも彼女に興味があるのね、UMA2」とPCに語りかける優真の不敵な笑みに、妙な胸騒ぎを覚えてしまう。
マリコもまた、見覚えのあるハッシュタグ「#人間は天使と獣の間に存在する」から、優真の存在を思い出す。さらに、第8話で、優真が「私ならもっとうまく、本当に指一本動かさずに殺せたのに」と発言していたことが脳裏をよぎり、マリコの疑念は確信に変わっていくのだ。
また、社会学者の山神芳彦(久保田悠来)は、前町長に対する殺人が、ネットによって誘発されたものだと示唆。この人物は、のちに物語を動かすキーパーソンになっていく。
そして、学長が転落死する第二の事件もまた、人の心理を操る“負のインフルエンサー”によって誘発されたものであると判明。一連の事件の背後に見え隠れする優真と“UMA2”の存在に、凍り付いた表情を見せるマリコ。いつも強く頼もしいマリコの姿を見慣れている側としては、心もとない気持ちになってしまうのだ。