「ネガティブに考えることは悪いことではない」というのが重要だと思っています
――エッセイには自分自身に向き合う方法として「因数分解する」という表現がありますが、それも昔からやっていた方法なのでしょうか?
「自分はどうしたいのか?」「そのためには何をすべきか」といったことを、一つずつ噛み砕いて分析していくというのは昔からやっています。
特に会社を起こす前とか、設立直後は、脳内だけじゃなくて、ペンを持ってノートに書き記してやっていましたね。「なぜ起業したいのか」「起業をするとどんなリスクがあるのか」とか、「問題にはどうやって対応していくのか」といったことを細かく書いていったし、それをすることは自分自身を知ることにも繋がっていきました。
――とはいえ、物事を前向きに考えられなくなる事はないですか?
ネガティブになることもありますよ。でも、大前提として「ネガティブに考えることは悪いことではない」というのが重要だと思っています。
たとえば、頭痛とか腹痛とか、人間が体に痛みを感じるのは“それ以上その痛みが続くと体の機能に損傷を与えますよ”っていう信号ですよね。精神も、体の痛みと同じだから、ネガティブな気持ちを知ることは、そのシグナルを受け止める作業だと思っています。
ネガティブは寂しがり屋だから、こまめにかまってあげないと膨れ上がって心の中で暴れ出しちゃいますからね(笑)。たとえ、すぐに解決策が見つからなくても、その原因を探ることが幸せのヒントになると思えれば、ネガティブの捉え方も変わると思いますよ。
それと、ネガティブの解消に、もう一つ効果的なのがフィジカルで感情を表現すること。感情はどうしても迷子になりやすいから、モヤモヤしたら、とりあえず音楽をかけて部屋でぴょんぴょん跳ねるだけでも明るい気持ちになるし、僕も毎日やっています(笑)。
オーディションに応募してくれたからには、次に繋がる何かを持って帰ってほしかった
――では、ボーイズグループ・BE:FIRSTを誕生させたオーディション「THE FIRST」についても伺いたいのですが、従来のようにライバルを戦わせるのではなく、参加者みんなが仲間意識を持って上を目指すスタイルが話題になりました。
過剰な演出や、露骨に戦わせること、視聴者の投票など本人が不合格の理由も分からないままに終わってしまうオーディションにはしたくなかったんです。オーディションに応募してくれたからには、たとえ受からなかったとしても、次に繋がる何かを持って帰ってほしかった。
だから、僕自身が若い頃に受けたかったダンスやラップ、ボーカルレッスンに触れてもらったり、楽曲を作るというクリエイティブな作業にも取り組んでもらいました。