過去から現在に繋がるまでの自分を肯定してもらった感覚がありました
――SKY-HIさん自身も、参加者と一緒に泣いて笑って、個々の才能に触れた時には、驚きとともに最高の笑顔になる姿が印象的でした。
彼らには思った以上に様々な感情を与えてもらいました。僕自身が、昔はアイドルとラッパーの狭間で「アイドルらしくない、ラッパーらしくない」と言われ続けて、居場所がないと感じた経験があったからこそ、カテゴライズされて才能を発揮出来ていない子たちを救いたかった。
世に出るチャンスに恵まれていないだけで、才能のある子たちはいると思っていたから、そういう才能を間近で見られた時はうれしかったですし、自分が求めていたものは間違いじゃなかったということを彼らが証明してくれました。それによって、過去から現在に繋がるまでの自分を肯定してもらった感覚がありましたね。
――カテゴライズのなかで苦しんだ自分自身の救済や、当時の分かってもらいたかった気持ちが会社設立やオーディションにも繋がっているといった原点も書かれていますが、今のSKY-HIさんは、救われたと言えるのでしょうか?
オーディション番組でウソのない自分の姿が放送されたこともあって、今は“そのままの自分”でいられています。そして、会社を設立して活動を共にする同士であり理解者を得られたことが、救いになっているのは確かだと思います。
――会社設立もですが、SKY-HIさんの活動の大元には“他人のため”ではなく“自分のため”に行動するという定義があり、それが素晴らしいところだと思います。
「情けは人のためならず」って言いますからね。自分がしたいと思うから行動をするわけで、それが逆転して「誰かのために」が先にきてしまうと、きっと、いつか“こんなにしてあげたのに!”と思ってしまう日がくる。それって誰に対しても優しくないと思うんです。みんなが「自分のために誰かの力になれたら」と考えられたら、平和で優しい世界になるのになと思うんですよね。
――では、最後の質問です。SKY-HIさんが“これだけは信じているもの”とは?
いっぱいあるけど、「本気は美しい」とか「音楽は素晴らしい」ですね。本気で取り組む音楽は心を生かし続けるし、その生きた心が本気を生む。その気持ちは、持ち続けていないとすぐに曇ってしまうものだとも思っているので、社長、プロデューサー、アーティスト、どの立場でいる時も、常に純度の高い情熱で、このシーンや音楽に向き合っていたいなと思っています。
インタビュー&文=原千夏