俳優の広瀬すずが4月13日、都内の劇場にて開催された映画「流浪の月」の完成披露試写会に、松坂桃李、横浜流星、多部未華子、李相日監督と共に出席。“甘える”ということを知らない横浜に、30分膝枕をしたエピソードを披露した。
凪良ゆうの傑作小説を実写化した同作は、広瀬と松坂によるダブル主演作。10歳の時に誘拐事件の“被害女児”となり、広く世間に名前を知られることになった女性・家内更紗(かないさらさ)を広瀬が、その事件の“加害者”とされた当時19歳の青年・佐伯文(さえきふみ)を松坂が演じる。
広瀬が李監督作品に出演するのは、映画「怒り」以来6年ぶり。広瀬は「あの(『怒り』)当時の私はあれが限界だったくらい全部を出し切った。監督と一本撮り終えたことで『映画作りってこういうものなんだ』『演じるってこういうものなんだ』と初めて知ったような現場でした」と当時の学びを振り返る。
続けて「今回は6年たって、自分もこの6年の中でいろいろなものを経験して、価値観であったりお芝居の感覚であったり、いろいろなものが私の中でもだいぶ変わっていたんです」と6年での自身の成長を実感。
その一方で「けど、監督とお会いした時に『どうしたらいいか分からないです』という相談をすぐにしてしまいました。(李監督に)『それじゃあこの映画は駄目だね』って言われました。『そうですよね』って言いました(笑)」と苦笑した。
また、横浜は亮という役柄について「チャレンジしかなかった。作品に入るたびに毎回挑戦の繰り返しだと思うんですけど、今回はより自分の中で大きな壁が立ちはだかったという感じではありました。自分の中に亮の要素が、その時は一もないと思っていました」と告白。
亮と違う点を聞かれると「自分を見失うことがあまりない。あと一番は甘えの部分です。10数年間ずっと空手をやってきて、人に弱みを見せるな、涙を見せるな、男はこうであるべきだ、というふうにたたき込まれてきたので『甘えってなんなんだろう』というところから始まりました」と語った。
現場では「(広瀬と)距離感をすごく感じるから、まずは膝枕してもらって」と言われたそうで、「膝枕してもらってみたんですけど、『これだと重いかな』と体重をかけられなかったり。でも、二人で同じ時間を過ごす時間を頂けたので、少しずつ距離感が近くなっていけたし『甘えるっていうのはこういうことなのか』というのを亮を演じて知りました」と、広瀬の膝枕から“甘える”ことを知ったと明かした。
広瀬は「30分くらいリハ(ーサル)室で二人きりでやってみたんです(笑)。その時、(横浜と)会ってまだ2回目か3回目くらいで、お互い極度の人見知りで『全体重乗せてくれるのかな』と思ったら1、2キロくらいしか私の皮膚のところには乗ってなくて。ずっと敬語でしゃべっていて、すごくカオスでした(笑)」と回顧。
その上で「肉体的にちょっとでも接触するだけで、距離感だったり心の開き方が全然違いましたね」と膝枕の効果を実感していた。
映画「流浪の月」は、5月13日(金)全国ロードショー。
◆取材・文=山田健史