YouTuberがテレビに出ることは「世間から認めてもらうこと」
ーーMCという立場に限らず、「遊戯配信」の収録をされていて感じるテレビとYouTubeの違いはどんな点だと思いますか?
はじめしゃちょー:やっぱりテレビってすごい凝っていますよね。僕の動画は、カメラの上についているマイクで撮っているのですが、音声は音声さん、照明は照明さん、編集は編集者さんとそれぞれ役割を持つ人がいらっしゃいますから、やっぱりすごいなって思います。
ーー最近では、YouTuberの方がテレビに出演されるケース、逆にテレビで活躍されている方がYouTubeを始められるケースがすごく多くてクロスしている印象です。YouTuberから見て、テレビに出ることにはどのような価値があるのでしょうか?
はじめしゃちょー:僕個人としては、テレビに出られることで「世間から認められたんだな」と感じます。YouTubeは「僕を見たい人」が見てくれている場所だと思うんです。一方で、テレビは僕に興味を持っていない人、普通に生活していたらYouTubeを見ないような年齢層の人にも見てもらえる機会だと思っています。だから、インターネットで活動をしていると、見てもらえないような人にもリーチできるきっかけになる場だと思いますね。
それに、ひとくくりにYouTuberと言っても、YouTubeって自分で始められるからこそ、いろんな人がいて「世の中的にはどうなんだろう?」と思うことをしている人も一定数います。そんなYouTuberの中からテレビに出させてもらうことは、誰でもできることではないと思うので、「世間に認めてもらえたんだ」「ここまで来たか」と嬉しくなりますね。
チャンネル登録者数1000万人突破「正直、ゴール地点かな」と思っている
ーーここ5年ぐらいのはじめしゃちょーさんの活動を見ていると、1人での動画のほかに「はじめしゃちょーの畑」というチャンネルが生まれたり、メインチャンネルにもそのメンバーの方や仲間の方が出演されることが増えた印象です。ご自身の中で見せ方に対する変化はあったのでしょうか?
はじめしゃちょー:時代の流れ的にグループYouTuberがトレンドというか、今勢いのあるYouTuberのほとんどがグループYouTuberなんです。それで東海オンエアとか、コムドットを見ているうちに「羨ましいな」「楽しそうだな」と思って、人をたくさん呼ぶようになりました。
ただ、最近になって、自分の中でそれが一周してきた感もあるんですよね。
ーーどういうことでしょう?
はじめしゃちょー:ソロのYouTuberとしてずっとやり続けてきたことが武器なんじゃないか、それでもいいんじゃないかみたいな感覚になったんです。だから、最近は「はじめしゃちょーの畑」というグループチャンネルはグループで、メインチャンネルは逆に1人でやっていった方が個性が出るんじゃないかなと思うようになりました。どちらも楽しいので「グループがいいかな?」「やっぱ1人かな?」ってずっとウロウロしてますけど。
ーー2021年末にはチャンネル登録者数1000万人を突破しましたが、次なる目標を教えてください。
はじめしゃちょー:正直、今がゴール地点かなとは思っています。そうやっていうと、伸び代がないみたいな感じに聞こえてしまうかもしれないんですけど、「今がMAX幸せな状況」と思っています。僕の場合、おもしろい動画を作りたいという気持ちがYouTubeを続けるモチベーションとして、ずっとあるんです。だから、ブランド展開をしようとか、インフルエンス力を使って金儲けしたいとは思わないんですよね。「長くこの仕事をしたい」というのが今の目標です。
ーー以前、好きなことを仕事にすると、好きなことが好きじゃなくなってしまうというようなお話をされていました。今、YouTubeを好きでい続けるために、どういうマインドで活動してらっしゃるのでしょうか?
はじめしゃちょー:めっちゃダサイことを言うと、仕事だと思わないようにしています。お金も発生するし、見てくださる方がいて初めて成り立つことなので、もちろん仕事は仕事なんですけど、「やらなきゃ」になるとつらなくなってしまうので、いかに遊べるか、楽しめるかという感覚を大切にしています。好きなことを仕事って思ってしまう時点で、好きなことじゃなくなってしまったり、変なフィルターが入ってやりづらくなると思うので、「仕事じゃない」って自己暗示をかけているんです。プロ意識が低いように聞こえてしまうかもしれませんが、嫌にならずに10年目を迎えられた理由はそこかなと思っています。
ーー最後に、改めてMCを務める番組「遊戯配信」に対する意気込みを教えてください。
はじめしゃちょー:僕自身、MCに決まる前から、いろんな番組に出演させていただく機会はあったのですが、その度にテレビのおもしろさや、自分だと出せない部分を感じることが多くありました。だから、MCとして、収録に参加させていただきながら、どうトークするのが良いのか、どういう流れで番組を作るのか、プロデューサーさんの意図はなんなのかをじっくりと学べたらなと思っています。ちょっと裏方目線にはなっちゃいますけど、自分の成長にも繋げていきたいです。
取材・文/於ありさ