かなりの偶然も…初回からミラクル連発だった
しかしそんな不安もなんのその。この4月から始まった「一物」は意外にも初回からミラクル連発であった。
まず最初にたまたま声をかけたおじいさん。江口(直人)が完全に冗談で「まずはお父さんの家にちょっと行かせてもらって」と言ったところまさかの快諾。辿り着いたマンションは普通中の普通で、テーブルにはお父さんの入れ歯が置いてあるくらいありのままの飾らない部屋。途中で会ったご近所さんは「いつも番組見てます」と(その時点では)始まっていない番組を見ているアピールも。
果物屋では甘い白イチゴを食べ「うまイチモツ!」のフレーズが誕生したかと思えば、ロケ中ものともせずズカズカと会話に入ってくる女性が。聞けばどぶろっくの高校時代の部活顧問タカオ先生の同級生の女性で、あまりの偶然に盛り上がる二人。
さらにはベースと思しき楽器ケースを持ち歩く男性に声をかけると、これが通称「エロ仙人」と呼ばれているミュージシャン。あまりに「類は友を呼ぶ」状況に二人も愕然。そして当然のように始まる下ネタ歌バトル。しかしこれは18時のお茶の間に届けられる内容ではなかったようで全カット。なんとも内容の濃い第一回であった。
意外なほど達者なロケっぷりを見せたどぶろっく
第二回は全く人のいない街中でなんとか苦心しながら喫茶店めぐり。第三回は正反対の混み合う道の駅で交流を楽しみつつ名湯・古湯温泉へ。常にスタッフの笑いが絶えず、和気あいあいぶりが伝わる現場は実に良い雰囲気だ。
「一物」を見て思うのは、どぶろっくの意外なほど達者なロケっぷり。人見知りを自称しながらも、積極的に声をかけ、軽めの下ネタも挟みながら佐賀の人々の心にどんどん入っていく。
かと思えば年配のご夫婦には礼儀正しく接し、富豪然とした貫禄あるご主人からは「全然下品じゃないね」と言われる。相手によって使い分けられる実に常識人。食レポも「うまイチモツ」「深イチモツ」などのオリジナルフレーズは駆使しつつも、そつなくこなしていて、特に森(慎太郎)の食レポは普通に上手だ。
東京キー局で認知されているどぶろっくの芸風では、これからも街ブラや食レポなどの仕事はほぼないかもしれない。
しかし、それがちょっともったいないと思うくらいに「一物」ロケのどぶろっくはいきいきしている。これは地元で羽根を伸ばせているというだけではなく、芸人として積み上げてきた地力であろう。
芸人の地方冠番組はこういう意外な発見があるからやめられない。