北川:ただ、私が演じた役は少し違っていて、あまり現代と過去に共通点がないんですよね。というよりも過去パートで演じたエイは、伊能忠敬の元妻であること以外はほとんど知られていなくて。この作品の中でも浮世離れしている存在なのですが、逆に現代パートで演じた観光課長が強い女性だったので、私が2役を演じることで乱してしまわないかなと心配でした。
でも、あまり考え過ぎても良くないと思ったので、現場で感じたことを大切に演じていました。
――大河ドラマの企画を進めるうちに、忠敬は地図完成の3年前に亡くなっていたという真実が明らかになり、執筆を依頼された老脚本家が「伊能忠敬では大河にならない」と宣言しますが、本作を製作する上でも何か予想外のことなどは起きましたか?
中井:大河ドラマ「おんな城主 直虎」(2017年NHK総合ほか)などの森下佳子さんに脚本をお願いしたのですが、2回目の打ち合わせのときに「伊能忠敬は十分大河になるから、私には難し過ぎるかもしれない」とおっしゃるんです。そこから説得と打ち合わせを繰り返し、完成までに数年かかりましたが、最終的には素晴らしい脚本に仕上げてくださいました。
北川:本当に面白かったです。登場人物は多いのですが、読みづらさは一切なく、どんどん自分の中で映像が広がっていくような脚本でした。いい意味でハードルが高くなく、初めて時代劇を見る方にも楽しんでいただけると思います。
◆取材・文=馬場英美
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