作品の中から飛び出してきた「ゆう」
――小川先生、そんな岡崎さんが演じる「ゆう」を見て、いかがでしたか?
小川:実はドラマ化が決まってすぐに、岡崎さんのインスタを見ました。ヘアスタイルをロングからボブにされていたんですが、思わず「ゆうちゃんだ!」と叫びましたね(笑)。ゆうちゃんは、何もしなくても人を惹きつける魅力があると思っていたので、岡崎さんはまさに「ゆう」そのもの。演じてもらって本当に良かったなって。
岡崎:本当ですか……!原作者の先生にそういってもらえるなんて、うれしいです。
――先生の中で、岡崎さんは「ゆう」のイメージそのものだったんですね。
小川:笑ってるシーンはめちゃくちゃかわいいけれど、シリアスなシーンは本当にはかなげで、色気もある。そんなところも、ゆうちゃんだと思いました。
岡崎:う、うれしい……。ありがとうございます。
――先生の中で「岡崎さんのこの演技が好き!」といったシーンはありましたか?
小川:真剣なシーンじゃなくて申し訳ないんですが、深見くんが夜に軽トラで登場するシーンがあって。そのとき岡崎さん演じる「ゆう」が「こわっ」っていうんです。時間帯も夜中なので、普通に考えたら怖いですよね(笑)。そのときのコメディっぽさがツボでした。
岡崎:あれはほんとに怖いです(笑)。
私が好きな「私」でいること
――最後になりますが、先生にお聞きします。本作を通して、いちばん伝えたいことは何でしょうか?
小川:この話は「ゆう」自身が幸せになる話です。自分の置かれている環境や年齢、立場を抜きにして、自分自身が好きな自分でいられたらいい。そんな思いを込めています。周りのことは関係なく、自分が自分を好きでいられる生き方を「ゆう」を通して見てほしいなと思っています。
――このお話は、担当編集者さんと二人三脚でつくられた作品だとお聞きしました。
小川:はい。三角関係や結婚適齢期の女性の気持ちを描こう、と話が決まったあとも結末は決まっていなくて。その都度、その都度、「ゆう」だけじゃなくてみんなが幸せになれるにはどうしたらいいかを探していくようにお話を作っていきました。物語が進み、自分のリアルな友だちのことを思いながら描いていくうちに「自分が好きな自分でいること」という思いを伝えたくなりました。
――そうだったんですね。岡崎さんは、演じるうえで視聴者の方に何か伝えたいことはありますか?
岡崎:自分の人生をどうしたいのか?何が幸せなのか?が大きなテーマだと思います。恋愛を通して、幸せになる道を探していく。「ゆう」は尚紀と深見くんの間で新たな自分を発見して、自分のことをどんどん知っていきます。30歳手前で結婚の岐路に立たされ「本当にこれは自分の意志なのか?」と疑問を持つ。どんな自分でありたいか、考えられる作品じゃないかなと思います。
小川:社会では、自分のことばかり考えるのはあまり良しとしない雰囲気がありますよね。けれど、ためらわずに自分のことをいっぱい考えてほしい。「ほかの人はどう思うだろう?」「こうしたほうがいいのかな?」と周りの様子を伺うばかりじゃなく「自分はどうしたいのか?」と、自分のことを考えてほしいなと思います。