田辺氏の想像を超えたヒロイン・芳根京子
――SNSではリアルタイムで視聴するというのをお見掛けしましたが見ながら「胸きゅん」をしているのでしょうか?
先に完パケ(=放送できるまでに仕上がっているVTR)をいただいているので、「胸きゅん」的なドラマの鑑賞は放送前の視聴でしている感じです。リアタイはドラマを鑑賞するというより、ネットで皆さんがどういう反応をしているのかを見るためですね。
なるべくSNSでリアクションしやすい脚本を心掛けて書いているんです。それは、僕自身が小ネタを書くのが好きというのもありますが、SNSでリアクションすることもドラマの楽しみ方の一つになればいいなと思っているからです。なので、皆さんがどうしたらときめいてくれるかもそうですが、小ネタもツッコみやすさを大事にして、せりふも耳に残る造語にしたり、繰り返しやすいワードを意識するようにしています。
ただ、今回はこちらの狙ったリアクション以上に、皆さんの「かわいい」の反響がとにかく多くて、どんな小ネタも山田さんのかわいさには敵わないんだと実感しました。
――SNSの反応を気にされるようになったきっかけは?
一緒に楽しんでもらえたらいいなと思ったからです。SNSは多くの人と共感できる場所でもあります。SNSがなかった時代は、ドラマ放送の翌日に学校や職場で「あの場面かったよね」と共有し合うことも楽しみの一つだったと思うんです。
それが今はSNSになって、自分と似た趣向の人たちと、同じ作品を同じ時間に共有する楽しさってあると思うんです。感じた瞬間に思いを共有し合える、リアクションすることも含めて楽しめる場所だと思っています。
――田辺さんが思う山田さんのかわいいシーンは?
山田さんのかわいいシーンは選べないですね…! かわいくないシーンは一瞬たりともなかったと思います(笑)。
――ほかにかわいいなと思った方は?
芳根さん演じる和泉が思った以上にかわいかったです。思った以上にというのは失礼かもしれないですが、僕の想像していた和泉を超えてきました。第2話で康介にスリッパを履かせてもらったあと、若干緊張しながらぎこちなく歩き出す姿を見て、「この子、かわいいな」「あ、この子がヒロインなら大丈夫だな」と思わせてくれました。
あのシーンを見て、本当の恋を知らなかった康介が初恋の相手として、和泉に恋をするのは不自然じゃないなと実感できましたし、最終話までの2人の恋を応援したいストーリーになるんじゃないかと思えました。
――芳根さんの印象を教えてください。
お芝居の上手な女優さんだということは知っていましたが、今回のドラマでご一緒させていただいて、すごくかわいらしい方だなと思いました。
――田辺さんにとってドラマの「胸きゅん」ポイントは?
第6話のキスシーンです。ト書き(=登場人物の動作や行動を指示する部分)では「キスする」としか書かれてなくても、俳優さんたちや監督のアイデアやセンスが盛り込まれて、実際のお芝居はト書きだけでは表現できないものになっているので、そこはすごいなって思います。副音声で大橋くんたちもキャーキャー、騒いでいましたけど、その気持ちと同じ気持ちでした!
――今、話に出ました大橋さんの印象をお聞きしてもいいですか?
大橋くんは元気だなと(笑)。最初にごあいさつさせていただいた時と、撮影にお邪魔させていただいた時に少しだけお話させていただきました。
――親世代からも反響がありますがご存じでしたか?
自分が反響を知れるのはSNSくらいなので、それだとどの世代からの反響かまでは分からないです。ただ、どの世代の方が見ても楽しんでもらえるように意識はしていますので、お子さん世代でも親世代でも何かしらリアクションをいただけるのは、うれしいしありがたいです。
――この作品を通してどんなことを伝えたいですか?
僕は脚本家としてはあまりエゴが強くないタイプなんじゃないかと最近思うのですが、作品を通じて「これを伝えたい!」という何かメッセージみたいなものはあまりないんです。ただ、会議でも話すんですが、僕がこのドラマで大事にしているのは、とにかく「山田くんに恋をしてもらいたい」という思いなんです。
「今日も30分、山田くんに恋をしたな」「私、山田くん好きになっちゃったかも」「来週までの一週間、あの人のことを考えるとすごく楽しい気分になるな」という、心が温かくなるような気持ちになってくれたらうれしいなと思っています。