4月30日からJR東日本四季劇場[秋]で開幕した劇団四季ミュージカル「バケモノの子」。同作は2015年公開の細田守監督による同名アニメーション映画を原作にした新作オリジナルミュージカル。この世界に存在する人間界ともう一つの世界・“バケモノ界”の渋天街。そこに迷い込んでしまった蓮とバケモノである熊徹を中心に、色鮮やかなキャラクターたちの姿を描いていく。劇団四季はこの作品で国産ミュージカルとして最大級の長期上演に挑む。
WEBザテレビジョンでは「劇団四季ミュージカル 劇場から渋天街へ続く道」と題し、全7回に渡って俳優やスタッフのインタビュー、稽古場の様子などをお届け。ミュージカル「バケモノの子」がどのように生まれ、劇場で観客をバケモノの世界へどう誘っていくのか…作品の魅力を余すことなく紹介していく。
第4回の今回は、第2回で稽古場での様子について話したメンバーで開幕した「バケモノの子」についての感想を。7月21日(木)に発売される「劇団四季ミュージカル バケモノの子 ナビゲーションBOOK」の編集者HとWEBザテレビジョン担当者Y、そしてライターのNが座談会形式で語り合った。
話したのはこの3人!
編集H:普段はアニメ雑誌を中心に、アニメ作品や声優関連本の編集を手がける。今回「バケモノの子」をきっかけに劇団四季ミュージカル観劇への門戸をたたくことに。日々新鮮な感動を浴びながら勉強中。
編集Y:WEBザテレビジョンで幅広いエンタメ関連の記事を取材・執筆。幼いころから母に連れられさまざまな劇場に足を運び、今では立派なミュージカルファンに。劇団四季の観劇経験はあるが、取材は今回が初めて。
ライターN:主に著名人のインタビュー&原稿執筆を行う。「劇団四季スペシャルブック」を始め、劇団四季関連の取材を多数行なっている。劇団四季作品でとりわけ好きなのは「青い鳥」。
ミュージカルならではの表現に感動
編集Y:待ちに待った「バケモノの子」がようやく開幕しましたね。お二人と感想を言い合えるこの日を楽しみにしていました(笑)。Nさんは、どうでした?
ライターN:プレビュー公演を観せていただいたんですが、自分がインタビューさせてもらった俳優さんたちが多数出演されていたこともあってか、完全に「俳優推し」というか。恥ずかしながら、作品全体をまるで俯瞰(ふかん)で観られなかったんですよ……。
編集Y:わかります、わかります。「仕事を忘れて観ちゃった」って感じですよね。私も楓役のインタビューに立ち合ったので、つい楓ちゃんを応援しちゃうというか、謎の親心みたいなものが湧いていました(笑)。
ライターN:お話を伺った方にはどうしても、そういう気持ちが自然と発生しますよね。
編集H:原作のアニメーション映画を観ていて全体のお話は知っているから、筋を追うってことにそうエネルギーを使わない分、登場人物たちに心情を寄せやすかったというのもある気がします。
ライターN:確かにそうかも。
編集H バケモノの造形は、実に見事でしたね。アニメーションの世界観を違和感なく具現化していたというか。
編集Y:衣装も絶妙でしたね。「ライオンキング」や「リトルマーメイド」などの他の海外作品とはまた一味違う、リアルとファンタジーがすてきに共存しているな、と思いました。私的に「すごく可愛い!」という”推しの衣装”もありました。
ライターN:推しの衣装って斬新! でも本当にいい塩梅でしたよね。
編集H:作品全体もいい塩梅というか、原作の世界観と劇団四季らしさのようなものが上手に融合されていましたね。ただ、映画は渋谷から始まるところが、舞台では渋天街からのスタートする、その違いが象徴しているかもですが、個人的には、映画は蓮・九太、舞台は熊徹の視点という感じがしました。熊徹目線が映画より強まることで、より大人も感情を寄せやすいのかもな、と。
編集Y:映画の完コピではミュージカルにならないし、そもそも完コピなら映画でいいじゃないか、という話なわけで。映画のどこを削ぎ落として何を加えるか。そのバランス感が、舞台版をより世代を問わない印象にしているかもしれませんね。何目線?って怒られそうですが「よくまとまっている!」って思いました(笑)
ライターN:わかります。映画は細田守監督の作家性みたいなものを感じますけど、舞台版はより普遍性のほうが強まって、しっかり劇団四季の世界になっていましたよね。
第1回劇団四季代表取締役社長 吉田智誉樹氏インタビュー
第2回担当者が語る!劇団四季の稽古の裏側
第3回脚本・歌詞 高橋知伽江インタビュー