「A LIFE―」で初共演 浅野忠信『(木村拓哉は)同じ男として嫉妬してしまうほどの魅力』

2017/05/12 06:00 配信

ドラマ

自身が一番驚いた連続ドラマの出演


ザテレビジョンドラマアカデミー賞にて、助演男優賞を受賞した浅野忠信撮影=西田周平


――そもそも浅野さんは映画で活躍されている印象があったので、連続ドラマにご出演されるということだけで、事件だと思いました。

ありがとうございます。僕自身が一番びっくりしましたね(笑)。

――出演する作品を選ぶときの基準はどこにあるのでしょうか?

最近は選ぶという感覚では無くなってきてますね。ありがたいことにオファーをいただけるから、そのときになぜこの役が僕に合うと思ったんだろうと考えたりします。いい話ばかりじゃないけど、それでもこの話を僕に振ってくれたということは、「こいつがなんとかしてくれる」と考えてくれたんじゃないかって。まあ、図々しい話なんですけどね(笑)。

なので、一概につまらないから断るのではなく、「じゃあ、どうすればいいのかと考えてください」というオファーなのかもしれないと思い、自分でいろいろ考えたうえで、一度打ち合わせをさせてもらいます。でも、打ち合わせをした後に、向こうから断られるということが何度もありました(笑)。

――そんなことがあるんですか!?

そう、あるんですよ。僕がやるんだったら、こうやりたい、みたいなことを監督に伝えたら、向こうから断られて、「えーっ?」って(笑)。僕はこれって恋愛に近いんじゃないかと思っているんですよ。僕に好きな女性ができて、「あなたとお付き合いしたい」と告白したら「イヤです」と言われて。でも、そこでこっちが「大丈夫です」と言ったら、それで終わっちゃうじゃないですか。個人的には、告白するんなら、つきあえるまで何回でも告白しなくちゃいけないと思うんですけどね。なので、1回打ち合わせしただけで断られたら、俺が告白したんじゃないんだけどって、思っちゃいますね(笑)。

――そういった考え方は、年齢と共に変わってきていますか?

変わりましたね。若いころは何も考えていなくても勢いで行けたと思うんです。それこそ、「これはやりたくない」と言ったりもしたんですけど、今はひとつひとつを楽しみたいから、より欲深くなった気がします。若いころは「つまらないから、やりたくない」ぐらいじゃないですか。でも、年を重ねるごとに、つまらないこととか、自分が理解できないこと、自分の想像以上のものを持ってきてくださることが多いんだなと理解できるようになったで、なぜこの役が自分のところに来たのかを考えるようになりました。

――浅野さんの中で映画とテレビドラマに違いはありますか?

たぶん世間から見たら、僕は映画にこだわってきた人間だと思われていると思います。もちろん、映画の方がやりたいと言っていた時代もあって、僕ほど映画にこだわってきた人間はいないというぐらいに自分を信じてやってきたんですけど、あることをきっかけに、その先にドラマがあることに気づきました。

それは映画というものがどんどん変わってきていて、今は僕が20代、30代とやってきたころとも違ってきています。まず、フィルムがほとんど使われなくなって、テレビの現場も映画の現場も撮影の方法はほぼ変わらなくなってきました。それと同時に、携帯電話でも動画が観られるようになって、映像がどんどん身近なものになってきています。それは撮影の方法でも同じことが言えると思うんですよね。

そういった状況の中で、30代のころにモンゴルへ映画の撮影に行ったときに、砂漠みたいな町にあるインターネットカフェで、子供たちがパソコンの小さな画面にしがみついて映画を観ていたんです。そこからずっと自分の中の疑問があって、あるとき「これこそが映画なんだ」と気づきました。つまり、映画館に行かないと映画が観られないのではなく、そういったコミュニケーションが取れることが映画的なのではないかと。そう考えると、テレビドラマに出るのが一番映画的なアプローチなんじゃないかと思い、今回のドラマに出演することにしたのですが、実際に僕の住んでいるマンションの人たちも「副院長、観てますよ!」と言ってくれて(笑)。今の時代においては、そういったコミュニケーションが取れることが大切で、これこそが映画的じゃないなと思うんですよね。やっぱり映画の持つ力というのは、その瞬間に何かが花開いて、今日を変える力が芽生えないといけないと思うので。そういう意味では、このドラマに参加できて、本当に良かったなと思っています。

※その他の受賞結果・各部門の順位詳細などに関しては、5月10日発売の週刊ザテレビジョン20号にて掲載中。

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