テレビCM収入だけでない、動画広告収入アップで各局利害が一致
VODなどの発展で、テレビ番組を必ずしも“テレビ”だけで観るわけではなくなった“今”らしい取り組みだが、そもそもテレビは各民放局、それぞれがライバル関係のはず。それが何故、力を合わせられたのか。
「TVerは各局が出資したメディア。つまり、TVerはそれぞれのオウンドメディア(自社メディア)でもあるのです。今は視聴率だけでなく再生数も重視される時代。テレビコンテンツのファンや出会いの場を増やす上でも、放送局とTVerで力を合わせて何か一緒にできないかとお声がけしました」
YouTube、TikTokなど含めエンタメが多様化した今、各局“テレビを変えたい”という想いはあり、動画広告収入アップのメリットもあって利害が一致。見逃し配信などの“時間と場所に囚われない視聴”に“リアルタイム”が加わる形となる。
テレビが怖いのはバッシングではなく無関心
とはいえ、オリジナルコンテンツについて“周知”という意味では、まだまだ道半ばなのが現実だ。ホーム画面からオリジナルコンテンツへの誘導もわかりやすいとはいい難い。
「この4月にホーム画面含め、色々リニューアルをしたのですが、逆に使えなくなった機能などもあり、使いにくくなったというご意見も頂いています。ネット媒体という特性を生かし、お客様のご意見やご要望にスピード感を持って対応し、日々真摯にお応えしていければと思っています」
ネットというメリットが生きる。だがそれは同時に諸刃の剣でもある。昨今、ネット上にある意見で「コンプライアンスが行き過ぎて優等生的な番組ばかりになり、テレビは昔の方が面白かった」といったコメントをよく見かける。コンプライアンスに関しては賛否両論で、もちろんプラスの側面も多いが、制作上の“縛り”が昔よりきつくなっているのは事実だろう。SNSの発展によって炎上という形で可視化されやすくなったのが主な原因と考えられる。
「しかし我々はこれをデメリットと捉えません。愛情を持ってくださっているからこそ、色々なご意見をいただけるという見方もあり、それだけ利用していただいていると考えるからです。テレビが怖いのはバッシングではない。無関心です。日々の生活に、習慣に、テレビがあるからこそ矛先を向けられる。忘れられたら話題にものぼらない……」