6月14日(火)夜7:30から、「クローズアップ現代『封じられてきた声 映画界の性暴力〜被害をなくすために〜』」(NHK総合)が放送される。3月以降相次いだ映画界の性暴力告発を受け、なぜ性暴力が起きてしまうのか、また被害をなくすためにはどうすればいいのかを、韓国映画界における事例からの学びもふまえて考えていくという。
WEBザテレビジョンでは去る6月11日、番組制作スタッフへの取材を行った。取材時には番組がまだ編集中であったため、放送内容に関しては詳しく語れない部分も多かったが、その中でも取材を通じて制作スタッフが感じ取った現状や、伝えたいメッセージについて紹介する。
2019年から継続的に性暴力の問題を取材
「クローズアップ現代」では、2019年に4件の性暴力被害に関する訴訟で相次いで無罪判決が出たことをきっかけに、「性暴力を考える」というテーマで継続的な報道を行ってきた。NHKで性暴力を扱う際の定義は、レイプなどの直接的行為に限らず、望まない性的な言動のすべてを性暴力として位置づけている。
「2017年の『#MeToo』から2019年のフラワーデモ(※上記の4件の無罪判決を受けて始まった、性暴力被害者に寄り添うデモ)の流れで、被害者の方々がそれまで誰にも言えなかったことを公の場所で話す動きが広がりつつあると感じます」と、当初から「性暴力を考える」チームの一員として取材を担当してきた信藤敦子記者は語る。
「アメリカ発の『#MeToo』ムーブメントのときに国内ではあまり広がらなかった、被害を受けた当事者からの告発が今出ているのは、新たに社会のムーブメントが起きているから。少しずつではありますが、すごく大きな変化です。一方で、性暴力は特定の業界に限らず、どの業界にも存在する問題。元々関心のある方は男女問わず敏感に反応してくれますが、関心が薄い方々にも問題を認識してもらうことが継続的な課題ですし、メディアとして何かできることがあるはずだと思っています」(信藤記者)
芸能界における性暴力は、加害者が被害者に対して何らかの形で益を与えている場合、「枕営業」などと矮小化されがちで、被害を軽視する第三者からの二次加害も発生しうる。また、加害者側が自由恋愛の範疇ととらえる認知の歪みによって加害を自覚しないケースも考えられる。番組では今回の報道を行う上で二次加害が発生しうるリスクについても認識し、慎重に制作を進めているという。
