「自分なりの面白い」を突き詰める姿勢が「神回」を生む ネットに負けないテレビの強さ

膨大なアーカイブ映像の活用と課題


「神回だけ見せます!」の企画が立ち上がったのは2022年3月。そこから配信視聴者数が増えるGWでの配信に間に合わせるため、実質2ヶ月での制作はかなりの困難が伴った。

「映像を流す許諾を取るのが一筋縄ではいかなくて…出演している方の権利、BGMなど音楽の権利、ナレーターの方の権利、肖像権、映像を持っている方の権利など、ひとつひとつ権利者を探して許諾を取るという作業をしています。たとえば出演している方が事務所を移籍していて、どこに昔の映像に関する権利があるのかを確認しながら遡っていく、なんてこともあります。許諾が間に合わなくて取り上げられなかった映像もありました」(越山さん)

「壮烈!車大騎馬戦」は日本テレビ“アーカイビスト班”のオススメ神回(C)日本テレビ


今回取り上げた5番組は、制作側でピックアップしたものもあるが、日本テレビアーカイブセンターの精鋭“アーカイビスト班”からのオススメも含まれる。普段から古い映像のデジタル化や資料映像の検索業務にあたっているアーカイビストたちは、制作部も知らないような「神回」知識が豊富なのだという。そしてアーカイブセンターには、まだまだ無数の映像が眠っている。

「アーカイブ映像の活用はテレビ局にとって大きな課題です。動画投稿サイトでは過去の番組の違法アップロード動画が100万回以上再生されていたりして、ユーザーニーズがあるということは明らかなのに、テレビ局の膨大なアーカイブを活用しきれていなかった。権利処理の問題は難しく、なかなか踏み切れないところもありますが、こういった取り組みを通してノウハウを蓄積して、これからも活用していかなければと思います」(中西さん)