――“ファンとしての思い”ですか。
小林:私は昔“1”をリメークしたのですが、オリジナル版の“1”の制作に携わっていない若いメンバー主体だったんです。彼らは当時“1”をユーザーとしてプレイしていた世代で、どうしてもファン目線になる部分があり。シリーズの生みの親である三上(真司)さんと一緒に「えっ、そんな風に思っていたの!?」という話を彼らからいろいろと受けて、作り手側には分からない発見がありました。
逆に、私は新人としてオリジナル版の“1”を作っていました。「ハンターの登場シーンの意図」や「洋館について」など、当時はディレクターの思いが分からなかった部分もあったのですが、リメークの際に直接聞くことができてよかったなと思いましたね(笑)。
今作の映画に話を戻すと、深見さんとは今回初めてのお仕事でしたが、シリーズファンでいて下さってありがたい部分はありつつも、「このキャラはこうです」というような修正をお願いしました。
深見:やはり、原作に関わっているカプコンの方が本読みの現場にいるというのは、すごく心強かったです。これが、「脚本を一度カプコンに送って返事を待ちます」みたいなパターンだと大変ですので(笑)。
小林:原作チェックはそのパターンもありますもんね。
深見:その場に小林さんがいるので、「これは話が早い!」と(笑)。原作ものにありがちな二度手間のようなものがなかったですし、小林さんの言うこともぶれずに一度言ったことは覆らないので、こちらとしてはやりやすかったです。本当にありがとうございます(笑)。
小林:いえいえ(笑)。でも、深見さんは大変だったんですよ。清水さんはエグゼクティブ・プロデューサーの立場で好き勝手に言う、辻本さんは監督の立場でやりたい事を言う、僕もカプコンとして駄目な部分は言うしやりたい事も言うし(笑)。他にもプロデューサーがいるので、5~6人くらいの意見を全部吸収しないといけなかったんですよ。さらに、深見さんも自分の描きたい部分があるので、「こりゃ大変だな!」と(笑)。だから、本当によくまとめてもらえてありがたいと思いますし、深見さんが一番大変だったと思います。
深見:でもやっぱり、本読みの場で言うことが皆さんぶれないんですよ。言っていたことが後から変わるとか、そういう人は一人もいなかったし、やりたい事もそれぞれはっきりしていたので、逆にやりやすかったです。
小林:そう言っていただけるとありがたいです(笑)。
【シリーズの人気女性キャラ・レベッカが今作に登場するまでの経緯や、深見のさらなる「バイオ」愛などは、インタビュー後編「『バイオハザード:ヴェンデッタ』深見真×小林裕幸SP対談!(後)」に。5月21日(日)掲載予定】