新妻「今こうしてご一緒できるのが本当にうれしいです」
真彩：在団中から歌い方や表現の仕方、パワーの出し方などに悩むことが沢山ありましたが、そんな時は一番最初に新妻さんの歌声やお芝居から感じたエネルギーを思い出し、初心に帰っていました。今回共演することになって、自分も環境の変化があり、さらに新妻さんも対談してから環境が変わられて。今、こうしてそばで学ぶことができてとてもうれしいです！ 私は新妻さんが出演されている作品をいろいろ拝見しているのですが、以前対談した時から何か心境の変化などはありましたか？
新妻：対談させてもらったのは確か、産後の育休中でしたね。私、妊娠するまでは舞台にコンサートにテレビ出演に、とにかくがむしゃらに仕事をしていて、20代のころは年に7本舞台をやっていたこともあるくらいほとんどプライベートがなかったから、初めてゆっくりお休みをもらって力が有り余っていた時期だと思います(笑)。子供を持つ前はずっと舞台に標準を合わせてそれ以外の時間も過ごしていたし、趣味もなければ、お酒も好きじゃないし、ショッピングとか外出も全然興味がなくて。本当に好きなことが舞台で、それをやるために生きていて、それ故にストイックさも異常で。前の私はもっと人にも自分にもすごく厳しかったなぁと思います。
でも、出産して、仕事復帰をしたら予期せぬことがたくさん起きて、今までの「こうだったらこうする」というルーティンから外れていって、少しずつ歯車が狂い始めたんですよ。家族というチームで動き出すとやはり自分の思うようには時間が使えなくて、そうなると「思うように練習ができてない」とか、「本番に向けて納得のいく準備ができてない」って自分を責め始めて。そこに色んな出来事が重なって体調不良に陥り、生まれて初めてのどを壊してしまったんです。そんな状況の時に真彩ちゃんと歌番組で共演させてもらったんですけど、慕ってくれているし、初めての共演だから思う存分声を重ねられたらって楽しみにしていたのに、逆に心配をかけてしまって。それはとても自分の中でずっと引っかかっていたので、今こうして万全の状態でご一緒できるのが本当にうれしいです。
あの時期はとにかく、のどを壊すなんて初めてのことだったし、少しパニックになっていたと思います。仕事も詰まっていて休めないし、もちろん育児も休めないし、治療と並行して無理に歌い続けていたら本当にどんどん悪くなっていっちゃって…。最終的にはもう以前の声質には戻れないだろうというところまでいったんですが、「もし声質が変わっても、それはそれで私の新しいすてきな声だよね」と、ある意味開き直れた時からV字回復で調子が上向いてきて、今ではすっかり元通りです。その経験はひとつ大きな学びになりました。
