シー・ハルクはアベンジャーズの一員に?
そんな彼女は「突然“ハルクのパワー”を得てしまい、しぶしぶヒーローになる」という受け身タイプで、少なくとも4話まで視聴した段階では、アベンジャーズの一員ではない。「ミズ・マーベル」のようにスーパーヒーローに憧れていたわけではなく、強いていえばキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースの恋愛事情に持論があるくらいで、「アベンジャーズに医療保険はあるの?」と皮肉を言う始末。弁護士の仕事に矜持も自信も持っており、ハルクのパワーを封印できるならしたいとまで思っている。
それでも、法廷に交通裁判所から逃走したインフルエンサー・タイタニアが紛れ込んで暴れた時には、変身してやっつけるくらいの正義感、“使命感”は持っている。その結果、もともといた弁護士事務所はクビになり、転職活動もうまくいかず、“違和感のある存在”として見られることも。元祖ハルクほどではないものの“普通に生きることの難しさ”を感じながら、徐々に個性として受け止めていく。
MCU人気キャラのカメオ出演は?
また、クロスオーバーの宝石箱であるMCU作品だけに、人気キャラのカメオ出演も気になるところだろう。最近何かといろんなMCU作品に顔を出しがちな魔術師ウォン(ベネディクト・ウォン)の出演は既に発表されており、ジェニファーがハルクの天敵であるアボミネーション(エミル・ブロンスキー/ティム・ロス)を弁護するという、マーベルファンにはたまらないサービスも。いやはや、すごいことを考えるものだ。
本編にてジェニファーの口からカメラ目線で「みんなウォンを見たいよね? でも、カメオ出演が毎週あるドラマじゃないの」と語らせる演出も実に面白いが、アベンジャーズの中核を担うハルクのいとこの話だし、「ミズ・マーベル」では最終話にキャプテン・マーベルがカメオ出演するなど、遊び心を忘れないマーベルドラマなので、中盤・後半にサプライズがあってもおかしくない。
個人的にはウォンが女性に「ウォンちゃん」と呼ばれて若干照れる姿が見られるのも、コメディー色の強い今作ならではのものでほっこりした。もちろん、いざという時にはウォンが圧巻の魔術を見せてくれるので、ウォンのすごさもあらためて堪能できる。
「スーパーヒーローものっぽさ」を抑えフランクな“法廷ドラマ”に昇華させ、「これまであまりヒーローものを見てこなかった」という人にも見やすい作りになっている本作。カット・コイロ監督も「ジェニファーは他のスーパーヒーローとは全く違う。彼女は普通の人で、弁護士になるためにたくさん努力をしてきた。そんな中、突然、必要もしていないパワーを得てしまうの。そのことで人から違った風に見られるようになったから、そんな自分に適応していかないといけない。自分の個性を発見し、受け入れる物語なのよ」と語っているが、“普通でいること”の尊さ、多様性の時代なので、人と違うからといってそれを無条件に排除するのは違うし、当事者もそれを個性として強く生きてほしい、というメッセージも感じられた。
今のご時世、決して特別なことでもないが「働く女性を描くドラマ」という要素はMCU作品ではまだ少ないので注目を集めそうだが、それはそれとしてMCU初期から活躍していたハルク関連の新たな物語の誕生に酔いしれ、肩の力を抜いて楽しんで見てもらいたい。
◆文=高崎二灯星
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▼配信情報
「シー・ハルク:ザ・アトーニー」
8月18日(木)昼4時よりディズニープラスにて独占配信開始
クレジット:(C) 2022 Marvel
公式サイト:https://disneyplus.disney.co.jp/program/She-Hulk.html
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発売日: 2022/05/26
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