アニメ「メイドインアビス 烈日の黄金郷」(毎週水曜日深夜1:05～、TOKYO MXほか)の第7話「欲望の揺籃」が8月17日に放送された。「メイドインアビス」は「WEBコミックガンマ」(竹書房)で連載中の、つくしあきひと原作によるダークファンタジーアドベンチャー。人類最後の秘境と呼ばれる大穴アビスに、偉大な探窟家だった母を追う探窟家見習いの少女リコと、謎の少年型ロボット・レグ、アビスの中で出会った“成れ果て”のナナチが挑む物語だ。(以下、ネタバレが含まれます)
声優・久野美咲が伝播させる言葉にならない絶望の音
前回の放送後、原作勢が「地獄の始まり」と示唆していた今話。そこで語られたのは、恐怖、慟哭、狂気が入り混じった悲惨極まる決死隊ガンジャの末路だった。
行くことも引くこともできず、“人喰いの黄金郷”に捕らわれてしまったガンジャ隊。そこで生きる決意をした彼らだったが、隊員たちは謎の奇病に倒れだし、ヴエコが愛を注いでいた少女・イルミューイまで発症してしまう。そして、イルミューイを助けるために選択したヴエコの行為がさらに闇の深い絶望を呼ぶこととなる。
抜け出せない地獄にハマるヴエコたちの状況に視聴者からは悲痛な声が上がり、それをなお上書きしていくのがイルミューイを演じた久野美咲の迫真の演技だった。
無垢だったイルミューイが日々人ならざる姿に変わっていき、一日と生きることができない赤子を産み続ける。そして、そのたびに聴こえる胸をえぐる悲鳴と慟哭のあえぎ。Twitterには「作画のエグさと久野美咲さんの演技力がやばかったですね…」「久野美咲さんのイルミューイの演技、メンタルにぶっ刺さりました」「久野美咲さんの演技が凄すぎる。断末魔のような慟哭がめちゃくちゃしんどい」というコメントが相次いで投稿されていく。
さらに、不気味と不吉を混ぜたようなワズキャンの笑顔とセリフには悪寒が走り、これがまだ“地獄の始まり”の序盤に過ぎないことを否が応でも理解させてくる。第7話「欲望の揺籃」は、まさに希望と絶望が交錯する本作の真骨頂が描かれたエピソードであった。
体が崩れゆく、隊員たちを蝕む謎の奇病
自分がかつて黄金郷を求めて大穴に入った決死隊ガンジャの生き残りだと明かしたヴエコ。ワズキャンに率いられた彼らは黄金郷を見つけたという喜びもつかの間、上昇負荷の呪いにより、地上に戻ることができない身となってしまった。リコたちと異なり、先駆者である彼らは深界五層からの下降がラストダイブだとは知らなかったのだ。
黄金郷で最初の民となって生きていくことを決意したガンジャ隊だったが、問題は水と食料。特に水の調達は急務だ。干渉機の協力で安全な水場を探し出したものの、これがこれから起こる地獄の始まりだった。
ある日を境にイルミューイと数人の隊員たちが高熱と何かの卵が混じる下痢を発症し、一部の隊員たちは手足が溶け固まる奇病に冒されだす。原因は、今まで飲んでいた水。彼らが口にしていたのは、水に擬態した水もどきの寄生生物だったのだ。生き残るためには水が必須だが、その水が体を蝕んでいく。そしてイルミューイも発症するに至り、ヴエコはワズキャンに一縷の望みを託した提案を行う。それは干渉機が“願いを叶える卵”だという“欲望の揺籃”をイルミューイに使わせることだった。
