さかなクンの半生を描いたエッセイを映画化した「さかなのこ」が9月1日(木)に全国公開される。本作では、子供のころからお魚が大好き、そのピュアな気持ちで突き進んでいく主人公・ミー坊をのんが演じ、ミー坊に魚の魅力を教える近所の謎の男性・ギョギョおじさん役でさかなクンが、ミー坊の高校の教師・鈴木先生役で鈴木拓が出演している。実はさかなクンと鈴木は実際に中学・高校の同級生で、「ミー坊」「拓くん」と呼び合う親しい仲。そんな2人にさかなクンの“好き”を大切にした学生時代の秘話や、悩める若者へのメッセージを語ってもらった。
さかなクンと主演・のんの共通点は「のめり込んだときの純粋さ」
――お2人は完成した「さかなのこ」をご覧になっていかがでしたか?
鈴木 まず「さかなクン」をのんさんが演じるというのは度肝を抜かれましたよね。観たところ全く違和感がなくて、のんさんという方のすごさを感じました。(演者の)性別が違うとか、全く気にならない。「さかなクンとのんさんに何か共通点があるとしたら、それは一個のことにのめり込んだときの純粋さ」だと監督がおっしゃっていたので、これを俺の意見として言います(笑)。観ていてほっこりしましたし、ジーンとくるところもあって、いやあ…よかったですね。僕、出てるんですよ、この映画に(笑)。
さかなクン ものすっギョ~く感動しました。映画は好きなんですけど、映画を観て涙がこんなにダーッと出て、ギョウ(号)泣というのは初めてでギョざいます。「こんなことあったなあ」とか「懐かしい」という気持ちに加えて、先に脚本は見せていただいてるんですけど、やっぱり映画になると「この先どうなっていくんだろう」というワクワク感がハンパなくて。皆が幸せになっていく感じが素晴らしい!
――映像になって特によかったシーンはありますか?
さかなクン ヒヨ(柳楽優弥)の存在が自分の中で大きくて。幼稚園から一緒で、今でも仲がいいので。豪快なんですけど、ずっと温かく見守ってくれます。拓くんと同じように、ありがたい良い友達だなあというところを、すギョく表現してくださっています。
鈴木 日吉(ヒヨ)ね。僕も同級生で、ひょうきんなお調子者なんですが、柳楽くんが演じることで一癖も二癖もある感じになっていて。僕は柳楽くんとよく飲んだりするんで、柳楽くんが日吉をやるというのは正直衝撃を受けたんですよ。日吉はただのおっさんですから(笑)。でも実際観たらちゃんと日吉がいて、監督の手腕だなと。
さかなクン ねー!拓くん♪ほんとにヒヨに見えてくるんだよね。あと、ギョギョッ!雨のシーンはこうやって(シャワーで)作ってるんだ!ってびっくりしました。
鈴木 そうか、映画の現場は初めてなのか。
さかなクン 拓くんは大河ドラマ俳優さまだからねえ。
鈴木 (ドヤ顔で)どうも、鈴木です。
――(笑)。撮影していて印象的だったシーンはありますか?
鈴木 印象的だったのは、高校でカブトガニの卵の孵化に成功したシーンですね。当時、ある日でっかいカメラ持った人が写真を撮りに来て、クラスのやつに聞いたら、「ミー坊がカブトガニの孵化に成功したんだって」「えっ!」って。これを機に言いますけど、この人「カブトガニの水槽が狭いからかわいそうだ」って水槽から出しちゃうんですよ。だから理科室で天然記念物のカブトガニが走り回ってたんです。それがきっと自然界の潮の満ち引きと合って、孵化の成功につながったんじゃないかと思うんですけど。
さかなクン 吹奏楽部だったから、(理科室での)朝練と放課後の練習のときに水槽から出してお散歩させてあげてました♪
鈴木 ラッパ吹いてる前でカブトガニが走り回ってるなんて、普通ないじゃないですが。その記憶の風景が撮影でまんまドーンと出てきて、走馬灯みたいでした。僕は中学校の頃、吹奏楽部に好きな子がいたんで、意味もなく吹奏楽部のところへ行ってまして。
さかなクン Nさん♪それで理科室の近くにいたんだねえ。
鈴木 そうだよ!じゃなきゃ行かないよ、あんな幽閉されてるところ(笑)。
さかなクン 拓くんが鈴木先生をあれだけお見ギョと(お見事)に再現されたのは、めちゃくちゃうれしいです。直接、お願いして良かった!眼鏡まで自分で選んできてくれて。
鈴木 先生の当時を覚えてますからね。僕のクラスの担任で、(さかなクンが所属していた)吹奏楽部の顧問だったんです。
――鈴木先生はどんな先生だったんですか?
鈴木 ほんとにいい先生でしたよ。俺はよく怒られてたけど…ミー坊なんかは怒られてなかったと思います。
さかなクン 自分も怒られてたよ!吹奏楽部で「そこだけ違う!もっとちゃんと練習して!」って。屋上で居残り練習もありました。