福山雅治主演の人気ドラマシリーズ「ガリレオ」の映画第3弾「沈黙のパレード」が9月16日に公開される。その翌日、9月17日には完全新作スペシャルドラマ「ガリレオ 禁断の魔術」が放送予定だ(夜9:00-11:10、フジテレビ系)。それに合わせ、現在TVerではドラマシリーズ全23話を順次配信中。9年ぶりにスクリーンとテレビに帰ってくる本シリーズを、改めて福山演じる主人公・湯川学と歴代ヒロインの魅力から振り返る。
福山雅治だからこそ伝わる、無機質な天才物理学者の温かみ
あの男が9年ぶりに帰ってくる。天才物理学者・湯川学だ。
ベストセラー作家・東野圭吾の小説を原作とし、帝都大学理工学部の准教授である湯川(福山雅治)が、相棒の女性刑事と共に、事件のさなかに起きた超常現象を解き明かして事件を解決していく姿を描いたドラマ「ガリレオ」シリーズ。
2007年10月期に第1作、2013年4月期に第2作がフジテレビの月9枠で放送され、湯川の決めゼリフ「実に面白い」が社会現象を巻き起こすほどの話題作に。ドラマのみならず、劇場版として公開された映画第1弾「容疑者xの献身」(2008)は興行収入49.2億円、第2弾「真夏の方程式」(2013)も33.1億円と大ヒットを収めた。そんな「ガリレオ」シリーズの映画版第3弾「沈黙のパレード」が9月16日に公開。さらに、その翌日には完全新作スペシャルドラマとして「ガリレオ 禁断の魔術」が放送される。合わせて現在TVerでは「ガリレオ」ドラマシリーズ全23話を順次配信中、また9月24日(土)には「容疑者xの献身」が土曜プレミアム(夜9:00~11:25、フジテレビ系)で地上波放送予定だ。
オカルトや心霊現象としか思えない巧妙なトリックが、湯川の科学的検証と推理によって見事に暴かれていく痛快さと、事件の背景にある複雑で時に切ない人間ドラマが魅力の本作。一見、理系出身でなければとっつきにくい内容にも思えるこのドラマが幅広い世代に受け入れられたのは、やはり湯川学という人間を愛されるキャラクターに仕上げた福山の功績によるところが大きい。再びテレビとスクリーンで彼に会えることを今か今かと待ちわびている人も多いはずだ。
今年で芸歴34年目を迎える福山。俳優とミュージシャンの二足のわらじで長年活躍し続け、長年イケメンの代名詞を背負い続けるモテ男。そこにいるだけで物語が華やぐ存在感と大人の色気が、女子生徒からキャーキャー言われる湯川のキャラクター設定に説得力を与えている。
一方で、湯川は学問以外には興味を示さない変わり者でもある。非論理的な感情を嫌い、人間味をあまり感じさせない男であるにもかかわらず、なぜこんなにも愛されるのか。それは科学者として研究だけでなく、その成果が社会に与える影響をも内省的に見つめる誠実な姿勢にあると考える。
映画「そして父になる」(2013)の父親役や、「三度目の殺人」(2017)の弁護士役など、ラジオ番組などで見せる自身の親しみやすいキャラクターとは対照的に、クールで取りつく島がなさそうな人物を演じることが多い福山。しかし彼の演技は、登場人物が葛藤する中で垣間見せるあたたかさを私たちに届けてくれるのだ。事件の背景や犯人の動機には興味がないと言いながらも、恩師や中学の同級生など、湯川の身近な人が関わる事件では特にそれが顕著に現れる。喜怒哀楽こそ表には出てこないが、彼の奥行きある人間性に多くの人が惹かれてやまない。